第419話あゆは本気
「・・・悪い、今なんて?」
「ヤりましょう」
「・・・何を?」
「・・・言わないとわからないんですか?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
きゅ、急展開すぎる!さっきの王様ゲームも大概急だったけど、これは本当に急すぎる。まずはそこに至るまでの経緯を聞こう。
「な、なんでそうなった?」
「ヤりたくなったからです」
そんなどうしようもない理由で初めてをしたくない。大体何度も言うけどこう言うのは女子の方がもっと大切にするものだ。
「そ、そんな一時の感情でしたら後で後悔────」
「2年間思い続けてます」
それは聞きたくなかったな・・・っていうかあゆの雰囲気が少しだけ怒ってる感じがする。
「な、何か怒ってるのか?」
「はい」
「はい!?」
なんで怒られないといけないんだ、むしろいきなり王様ゲームなんて開催されて俺が怒りたいぐらいなのに・・・
「さっきなんであんなに私にキスを見せつけたんですか?」
「は、は?キスを・・・見せつけた・・・?そんなつもりは─────」
「じゃあさっきの約20秒のキスはなんですか」
「うっ・・・あ、あれは、初音が、その・・・」
「嫌なら両手を離して体を引き剥がそうとすることもできたと思うんですよ〜」
「し、舌を噛まれてたんだ」
「じゃあ先輩はナイフを刺されかけたら浮気するんですか?」
そ、それは・・・非常に困るな。この回答の正解は絶対に「そんなわけないだろ!」が正解だが、実際に想像してみるともしかしたら浮気してしまうのかもしれない。が、それはあくまでもその場だけで、すぐに浮気はやめる。
最悪の場合は初音に助けを願ってでも、だ。浮気は絶対にダメだ。・・・もう表面上はしてしまってるけど。
「そんなわけないだろ!」
「・・・へぇ〜、じゃあ試してみよーっと」
あゆはそういうと、実際にナイフのようなものを懐から取り出し、それを右手に俺に近づいてくる。
・・・いつも思うけどなんでみんなそんなにナイフを懐に持ち歩いてるんだ?女性は護身のためにナイフを持ち歩くのは当たり前なのか・・・?
・・・女性恐怖症になりそうだ。って、そんなこと言ってる場合じゃない!
俺はくるりと後ろに回転し、這うようにして階段の方に向かおうとするも、一瞬であゆに上から乗っかられてしまう。
俺がうつ伏せであゆが俺の腰回りに乗っている状況だ。
「じゃあ、さっき言ったことが本当かどうか、試しますね」
「た、試すって、何をするんだ・・・?」
「私とヤってください、断ればナイフで先輩のお腹を刺します」
「えっ・・・」
さ、刺すって・・・
「あ、あゆ、そんなのに騙されるわけ────」
「・・・・・・」
「────っ」
あ、あゆは本気だ・・・なんだこのデジャブ感。
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