第397話総明はズレを認識
「私があなたになったら?気味の悪いことを言わないでもらえるかしら」
「そう言う意味じゃなくてだな!天銀はどうだ?」
「僕が最王子くんの立場だったら・・・その2人とは別れて身近の人に目を向けると思います」
なるほど・・・って、意外にも大胆だな。でも確かに他に気を取られるぐらいならいっそのこと別れたほうがいい、のか?・・・わからない。
「つ、月愛も真剣に考えてくれ、俺になったらじゃなくて立場が俺と同じになったらだ」
「想像のしようがないわ、私は好き好んで浮気なんてしないもの」
と、まるで俺が好き好んで浮気をしているクズとでも言いたそうな目で見ながら言った。月愛の中での俺の評価はどうなってるんだ。
「俺だって好き好んで浮気なんてするわけないだろ?」
「性別がメスで好意を持って話しかけてきたら友達を放っておくあなたが?」
「だから俺は・・・も、もしかして怒ってるのか?」
「何に」
「い、いや、その・・・」
最近は学校に来てる時も初音とか結愛の対応で全然話せてなかった。なんなら天銀だって話すのは林間学校以来でちょっと久しぶりなぐらいだ。
「・・・・・・」
ここで俺は重大なことに気づく。俺は常識を望んでるのに俺の知り合いの中で一番常識人な月愛と、まだ常識で話せる天銀を俺自身が蔑ろにしてしまっていたことを・・・
「わ、悪かった、こ、今度からはちゃんと話しかける」
「なぜ私があなたに話しかけてもらわないといけないのかしら」
「っ!そこぐらい素直になれ!」
「何を言ってるのかよくわからないわね」
「このっ────」
「ま、まあまあ、お二人とも落ち着いてください、こんな小さいことでも事件に繋がるんですから」
まさに探偵みたいな仲裁の仕方だな・・・
「それより僕が気になってるのは白雪さんとの二股相手の方のことです」
・・・そうか、天銀は割と俺のことを尾行したり家に来てたりもしてたけど、俺が両足を怪我してからは俺に気を遣ってか一度も来なかったな。あゆとあったのは怪我になるちょっと前ぐらいだけど、親密に関わるようになったのは怪我になった林間学校の後、知らなくても不思議はない。
・・・逆に知ってたら怖い。
「白雪さんは一点・・・二点を除けば僕の知る限り完璧な女性だと思います」
「二点って言うのは何かしら」
「一つは性格でもう一つは・・・」
「もう一つは・・・?」
「・・・いえ、忘れてください、最王子くんはそんなことの大小なんて気にしないと思いますから・・・僕としては気にしていただいたほうがいいかもですが・・・いや、でも最王子くんが小さいほうがいい可能性も・・・」
天銀は1人の世界に飛び出して行ってしまった。多分だけど二つ目は胸だろう。・・・これ以上考えるのは危険だな、初音に殺される。
「性格、確かにあなたを独占するために校則を変えるなんて、ライトノベルならきっと狂気的なヤンデレポジションじゃないかしら、もしかしたらあなたのお弁当に彼女の血が少し入ってるかもしれないわね────」
「そんな可愛いものじゃない!!・・・あっ」
俺はつい大声を出してしまった。
「ど、どうしたの?」
いきなりの俺の大声に月愛は動揺したらしい、天銀はまだ何かぶつぶつ言っている。
「い、いや、な、なんでもない」
「そ、そう」
「・・・・・・」
なんだ、狂気的なヤンデレで血を少し入れるって。そんなの可愛いもんだろ!
ラノベをかなり読んでる月愛でこのレベルの認識なら他の人からしたらもっと狂気的のレベルは低いのかもしれない。
まあ確かに現実に軟禁して監禁して拘束して殺し合うなんて言うのが存在するなんて思わないよな・・・いっそのことそのことも月愛に相談してしまいたい。
・・・いや、俺の方が常識の世界から逸脱してしまっただけか・・・
「で、さっきの話の続きだけれど、浮気相手はどんな人なのかしら」
月愛がそう言った瞬間、天銀も自分の世界から帰ってきてメモ帳を取り出した。・・・何をメモするんだ。
とりあえず俺はあゆに関することを触り程度に説明することにした。
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