第367話あゆも天才だった
「いや、その・・・えっと・・・」
俺は自分がまずいことを言ってしまったんじゃないかと焦る。さっきあゆの学力を挑発するようなことを言ってしまったからだ。
「はあ、もうバレちゃったんで言いますけど・・・え〜っと?なんでしたっけ〜?私じゃ入れないような大学に入るから諦めてくれでしたっけ?因みに私は大学二年生ぐらいまでで習う数学の統計学、微積分学、線形代数学、論理学、集合論、位相空間論、あとちょっとだけ常微分方程式論とかもかじったりしてみてます」
「・・・えーっと、統計、学と・・・?微積代数空間方程式・・・?」
もはや俺にはあゆが何を言ってるのかすら理解が及ばなかった。ま、まさかあゆがこんな天才児だったなんて・・・
「で、でも国語は苦手なんだよな?」
「そうなんですよ〜、そのテストでも満点じゃなくて98点でした・・・はぁ、勉強できないふりして先輩に勉強を教えてもらうついでに密着しようと思ってたのになぁ・・・」
うわ、なんだその嫌味。あゆは観念するように俺に紙を見せてきた。
「・・・そうだっ!」
俺は手に持った紙の上の方に視線を移動させていった。─────名前だ。あゆの苗字を知ることができれば、あゆのことを下の名前で呼ぶということに対する初音の不信感を取り除けるかもしれない。
そう思って視線を移動させてみたが・・・
『───あゆ』
なんと苗字の部分が黒塗りされていた。
「そんなのお見通しですよ〜」
「くっ・・・」
見たところスペース的には3文字か4文字であることが窺える。・・・でもそれ以上は何もわからないな。
「あっ、でも私にも弱点はあるのでまた今度教えてあげます♪」
「ほ、本当か・・・?」
「はいっ❤︎」
あゆには弱点なんてなさそうだけどな・・・ちょっと突けるところはあるにしても弱点って言うほどものは今のところ見つからない。
「そんなことより・・・こんなに長く先輩と同じ部屋にいたら興奮してきちゃいました・・・❤︎」
「べ、ベッドの上で興奮なんて言うな・・・なんか生々しい」
「・・・あっ、下着着替えてもいいですか〜?もちろん布団で隠すので安心してください♪」
「いや!外で着替えろよ!」
もうちょっと自分の体を大切にして欲しいところだ。
「そうしたいんですけど・・・あと一歩でも動いたら下着から溢れそうなぐらいまずいことになってて〜」
「待て待て待て待て待て!なんでそんなことになってるんだ!」
っていうか、え?流石に下着から溢れるなんてことにはならないだろ。女子のそういう事情に詳しいわけじゃないけど、もしそんなことになるならなんのための下着なんだってことになってしまう。
「うっそで〜す♪焦る先輩を見たかっただけです」
「そ、そうか・・・」
よかった、もし本当だったらどうしたらいいかわからなかった。これはからかわれた怒りよりも安堵が勝つな。
「実は私今・・・ノーパンなんですよ」
「そんな嘘に騙されるわけないだろ!」
あゆは俺の布団を垂れるように手に持って移動し、あゆが座っていた場所を指さした。
「えっ・・・」
そこには、薄らとだけど小さな一点の濡れた跡があった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます