第364話あゆの期待と落胆
ま、まずい。高いところになんて置かれたらこの車椅子の状態で置くのはかなり難しい。かと言ってあゆをどこかに行くように言ってもそれはそれで不自然だ。
「ちょ、ちょっとおつまみでお菓子が欲しいから取ってもいいか?」
「・・・お菓子だけですかぁ〜?」
「あ、あー、いや、ちょっとだけご飯類とかも取るかもしれない、パンとか」
「なんでパンなんて取るんですかぁ〜?」
これもう俺の目的バレてるんじゃないのか?そのぐらいだいぶ警戒されてるみたいだ。・・・お、落ち着け、そう思わせるためのブラフかもしれない。ここは冷静に・・・
「お、俺は夜食を食べるのが好きなんだ」
「あ〜、なるほど〜そういうことでしたかぁ・・・へ〜?でも朝も昼も夜も私が作ってあげますよ〜?」
「よ、夜中にご飯を食べる・・・そ、そう!癖があるんだ!」
かなり無理があるだろうけど他人の癖に対してどうこう言う権利はないだろう。ちょっと俺が変人と思われるかもしれないけど、これも初音の作戦を守るためだ。
「夜中にご飯を食べる・・・癖・・・?あっ!そういうことだったんですね!もう〜、最初からはっきりと言ってくださいよ〜」
「わ、わかってくれたか・・・」
流石のあゆも他人の癖にどうこう言うなんてことはできないらしい。
「夜に私を食べたいってことですよね〜❤︎もうっ❤︎最初からそう言ってくださいよ〜、夜中に食べたいなんて・・・♪」
「・・・え?いや・・・え?」
な、何を言ってるんだあゆは。初音もたまにこういう時がある。俺が普通に話してるのに変に発想を飛躍させてしまい、話が拗れてしまうという時だ。
「もう!照れなくても大丈夫ですよ〜、夜中にご飯を食べるっていうのは〜、私に夜中、食べる、っていうワードを伝えたかったからですよね〜?で、男性が夜中に食べると言ったら女の────」
「わ、わかった、も、もう十分だ、ただ、それは誤解だ、俺はただただ普通に夜中にご飯を食べたいだけなんだ」
「・・・え?」
その後あゆはしばらく沈黙した。そして────
「一度女を悦ばせておいて一気に落胆させるなんて先輩も案外侮れませんね」
「変な言い方をするな!」
「・・・はあ、まあいいですよ、そういうことなら、はい、取っちゃってください」
どうやら俺があゆのことを夜に何か性的なことをすると思い込んでいたあゆは、投げやり状態になっていた。な、なんか知らないけど今なら食料を持ち込める!俺はすぐにパンとペットボトル500mを2つ、そしてそのまま難なく自分の部屋に入り────
`ガチャ`
「よ、よし・・・!鍵を閉めることに成功した!あとはこのまま立て篭もるだけだ!」
結愛とあゆなら初音と違って、初音の部屋にあるテクノロジーは使えないはずだ。監視カメラとか盗聴器とか・・・そもそも部屋にも入れないだろう。
「・・・え?ちょっと待てよ!?」
つまり俺は今完全に監視外なのか・・・?い、今なら・・・ま、漫画とかラノベとかを電子書籍で読み放題なのでは・・・?
「・・・・・・」
俺はすぐさまスマホを開き、ラノベ検索を行った。
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