第307話指輪浮気疑惑

「ふんふふんふふ〜ん♪」


 そーくんがお風呂に入ってる間に私はそーくんの部屋を掃除というなの捜索をしていた。理由はもちろん私に隠れて何か買ってるかもしれないと思ったから。

 だけど、そんなのはただの杞憂だったみたいで、そーくんは何もやましいものを私の裏で買っていたりはしてなかった。


「・・・ん?」


 そーくんの部屋の本棚の上に銀色の輪っかがある。


「・・・え?なんだろこれ」


 私は一瞬それが何かわからなかった。それを手に取って見ても、脳がそれを理解することを拒否していた。でもこうも長く手に持っているとこの持っているのもが何かを嫌でも理解してしまう。


「ゆび、わ・・・?」


 そーくんが私のために用意してくれたと思いたいけどそーくんの持っているお金で買えるようなものじゃない。当然そーくんの財政事情も把握してる。だからこそわかること、それはこれがそーくんが買ったものじゃないということ。

 もちろん男友達からもらったとかそういうことでもない。そーくんの人間関係も私はちゃんと管理してるし、強いていうなら男友達と言うと天銀ぐらいだけど天銀がこんなものをそーくんに渡す意味もない。それにそもそも男がそーくんに指輪なんてあげる理由もない。そうなると答えは・・・


「女・・・?」


 まさか私に隠れて浮気どころかそれ以上のところまでもうすでに行っていて、その女からプロポーズされたってこと・・・?


「・・・・・・」


ー総明Partー


「ふー・・・」


 お風呂はやっぱり気持ちがいいものだな。俺はそろそろ上がろうと思って脱衣室へのドアを開けた・・・が、その瞬間に裸の俺の目の前に駆け込むように初音が現れる。


「そーくん!」


「う、うわああ!初音!?」


 俺はすぐにお風呂のドアを閉めた。あ、あ、あ、あ、危なかった、今俺は腰にタオルも巻いてない、本当に裸だった・・・


「・・・そーくん、私言ったよね、私に隠し事したら問答無用で襲うって」


「え、言ってたけど・・・」


 ま、まさか天銀が女性だってことがバレたのか?いや、いきなりすぎる。そんないきなりバレるようなミスを天銀がするとは思えないし、俺だって物的証拠も残してなければ何もボロは出していないはずだ。


「じゃあ私はそーくんのこと犯してもいいってことだよね?」


 ずっと思ってたけどもっと言い方考えてほしい。


「待て待て、俺が何を隠してたって言うんだ」


「・・・指輪」


「・・・え?」


「そーくんの部屋にあった指輪!あれ浮気どころかそれ以上だよね!?」


「指輪・・・?」


 何言ってるんだ。俺がそんなもの持ってるわけ───あ!


「違う違う!あれは霧響が1ヶ月ぐらい離れるからって言って残していったやつだ!本当だ!信じてくれ!!」


 問答無用って言ってたからかなり念押ししたけど初音は信じてくれるか・・・?


「・・・うん、わかった、信じるよ・・・良いものも見れたし・・・可愛いね❤︎」


「・・・え?」


 俺はあえてその見たものというものを追求することはしなかった。聞いてしまったら何か大事なものを失うような気がしたからだ・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る