第301話霧響の下着欲
「お兄様・・・私は反省しました」
「え?ああ、うん」
急に話しかけて来たからなんのことかは知らないけどとりあえず小さく頷いておいた。霧響には反省すべきところが多々あるからな。何を反省したのかは知らないけどその調子でもっと根深いものまで伝染してくれるといいな。
「この前、お兄様にお兄様の下着を嗅いでいたのをバレてしまった件です」
ああ、あれか。あれは若干引いてしまったな・・・
「これからは確実にお兄様にバレない時にしかしないようにします」
「ああ、そうか、それはよかっ───よくない!なんだよそれ!全く反省してないじゃないか!」
よくそれで反省したなんて言えたもんだな。
「なぜそうなるんですか?」
「なぜって・・・まだ俺の下着をどうこうするつもりなんだろ?」
「はい、それはもちろんです」
「だからそれをやめろって言ってるんだ!」
何を堂々と言い切ってるんだ。この際だからここで説得しよう。
「私に死ねと言うんですか!?」
「そんなことは一言も言ってない!」
下着をどうこうするのをやめろって言っただけで死ねって捉えられるってどういうことなんだよ・・・
「お兄様の性に触れられないのなら私は死ぬのと同じです!」
「全く同じじゃないだろ・・・」
「いいえ!同じなんです!」
そんなはっきりと言うことじゃないことだけは確かだ。
「とにかくだ、俺の下着を今後どうこうするのはやめろ!」
「嫌です!」
なんでこんなことにここまで強情になるんだ、もっと他に強情になるべきところがあるだろ!もっと常識に対して強情になれ!
「嫌じゃない!これは兄としての命令だ!」
「・・・はい?お兄様に私を命令できるだけの権利があるとお思いですか?」
明らかに霧響の表情と雰囲気が変わってしまった。さっきの受け的な感じから今度は攻撃的だ。本当に二重人格を疑ってしまう・・・
「えっ、あっ、いや・・・そ、そういうつもりじゃないんだけど・・・下着をどうこうされるのは気分が良くないっていうか・・・」
「もしかして、私に下着をどうこうされるのが嫌なんですか?」
「もしかしなくてもそうだ!」
「・・・・・・・」
俺がそう言うと、霧響はしくしくと涙を流し始めた。
「ぐすん・・・」
なんかここまで泣かせてしまうと申し訳なくなってくるな。・・・まあ、下着をちょっとどうこうするぐらい別に俺のなんの害も無いし、見逃すか。
「わ、わかった、もう何も言わないから泣かないでくれ」
「・・・はい」
霧響は一瞬で泣き止んだ。俺はちょっと気まずかったのでその場を後にした。
「・・・ちょろすぎですよ、お兄様❤︎」
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