第292話初音と下着ショッピング
「も、もう十分だろう・・・」
「何言ってるの?まだ10分しか経ってないよ?」
こんな似たような羞恥製造みたいなことを10分もしていたら体感時間的には1時間ぐらいはこうしていた気分だ。
「な、なら次は何をすれば───」
「次は〜、はい!」
そういうと初音は俺にノートパソコンを差し出してきた。
「・・・これで何をするんだ?」
まあ、パソコンでできることと言ったら文字を打ったりとかちょっと難しいことをさせられるぐらいでさっきの醜態に比べれば全然ましだろうなと俺は安心する。
「これで、私の下着を最低でも10個ぐらいネットショッピングして?」
「えっ・・・」
全然ましじゃなかった。むしろ自分でそんなことをやらないといけない分さっきよりもきついかも知れない・・・初音は俺が逃げないように俺のお腹あたりに両腕を回し、俺の背中にくっついてきた。
こ、こんな状態で下着を・・・しかも本人の目の前で調べるなんて精神的にやばい。
「は〜や〜く〜!」
「・・・・・・」
止むを得ない。俺は普通の男性なら人生で一度も調べることはないであろう『女性用下着』と調べた。
「そーくんの好きなのを選んでね♪」
好きなのって言われてもなあ・・・女性用下着の良い悪いなんて俺にはわからない。とにかく白色の・・・これでいいか。
「じゃ、じゃあこれで・・・」
「・・・そーくん、喧嘩売ってるの?」
「え?」
なんでそうなったんだ。もしかして初音は白色が嫌いだったのか?いや、今までそんな話は聞いたことがない。それに初音だってたまに白色の衣服に身を包んでるし・・・
「な、なんでそうなったんだ・・・?」
「・・・サイズ」
「サイズ?」
「それ明らかに私のバストサイズと違うのにそんなのを見せてくるってことは喧嘩売ってるってことでいいんだよね?」
俺はそう言われサイズ欄に目をやった。すると、そこにはEカップ用と明記されていた。
「ま、待ってくれ!」
そうか忘れてた。ちゃんとサイズを見ないといけないのか・・・普段買い物する時こんな何カップとかそもそも見る機会がないからわからなかった・・・
「わ、悪かった、も、もう一度チャンスをください・・・」
「・・・わかった」
初音は不機嫌そうに言った。危なかった、あと少しで俺の人生が詰むところだった。俺は改めて下着を探した。
「・・・・・・」
正直何カップとかだけ書いててもよくわからないな。ちょっとサンプル画像を見てみよう。俺がサンプル画像表示ボタンを押すと、俺がまさに今見ている下着を着ている女性の画像が出てきた。これならちょうどいい感じかも知れな────
「なに浮気しようとしてるの?」
「え、え?う、浮気?」
「なんで私以外の女の下着姿なんて見てるのって聞いてるの」
な、なるほど。そういうことか。まあ、これは冷静に考えてみれば初音じゃなくても怒ることだな。よし、冷静に対応しよう。
「サイズとかよくわからなかったから、ちょっと実際に見てみようと思って・・・」
「ふ〜ん、そう、まあいいや、この下着なら私のサイズにも合うし、購入して?」
「あ、ああ・・・」
俺はマウスを右上に動かし、購入を確定した。・・・何が悲しくて女性物の下着を彼女の前で購入を確定しないといけないんだ・・・
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