第240話初音の謝罪と総明の誤解
「・・・寒い」
ちょっと雨に濡れた上にさっきお風呂上がりで初音の話を聞いて髪の毛乾かしてなかったから湯冷めしたのかもしれない。
「ドライヤーするか・・・」
俺が洗面所に向かおうとした瞬間、俺の部屋のドアがノックされた。
「あ、どうぞ」
そして俺が入ってもいいよという意味でどうぞというと初音が俺の部屋に入ってきた。また何か用なのか?怖いけどなんか今は特に怒ってないように見える。
「そーくん・・・」
「は、はい・・・」
「ごめんね!そーくんは浮気なんかしてなかったんだね!」
「うん・・・いや、わかってくれたならいいんだ」
なんだ、初音が浮気関連のことで俺に謝罪なんて初めてじゃないにしろかなり珍しいな。
「まあ、とりあえず俺は浮気なんて───」
「それはそれとして・・・」
「え・・・」
初音が深呼吸をすると一気にさっきまでの謝罪の空気から明らかに怒ってますよ的な空気感になった。
「相合傘ってなんなの?」
「ん、あー、いや、だからそれは、ちょっと俺が傘持って行ってなくてそれでなんか一緒に傘入れてくれるっていう人がいたから───」
「そんなことを聞いてるんじゃなくてなんで私以外の人間と相合傘なんてしてるの?」
「人間って・・・女性じゃなくて男性だし・・・」
まさか俺は同性愛者を疑われてるのか?もしそんなことを言われたらさすがにそれだけは絶対に断固拒否しよう。
「性別じゃなくてそーくんが私以外の人間と相合傘なんてものすごく密着する行為をしたっていうのが問題なの・・・ちっ、なんで私と一緒に帰ってる時にそういうことにならないかな・・・」
初音がぶつぶつ呟いている。
「いや、でも、まあ・・・うん」
どうしよう、初音に対しての弁解の言葉を出す方法がわからない。
「とりあえず昨日も思ったけど性別なんて関係ないからね?まあもしその相合傘の相手が女ならその女のこと殺してそーくんのこともそれ相応な感じになってたけど男でも怒るからね?」
何が性別なんて関係ないだ、女性の場合は殺して男性の場合は怒るだけなら明らかに関係あるだろ。
「あ、今もし怒るだけとか思ったなら違うよ?」
「・・・え?」
そういうと初音は俺に近づいてきてポケットから爪切りを出した。
「な、何を───いっ!」
初音が俺の左手を押さえて左親指の爪をかなり深く切り、意図的に深爪にしてきた。
「何する───」
「これが罰だから、しばらくは誰か・・・っていうか私がいないと何かするにしても片手しか使えないから、よろしくね」
確かに深爪されるとかなり痛いけどそんな物理的な仕返ししてくるのか・・・相合傘しただけで・・・しかも同性となのに・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます