第234話相合傘
やばい、話しかけない方がよかったかもしれない。この帽子の人思ったよりぐいぐい話しかけてくるな。
「そわそわしていたので・・・因みに今誰かと言われて何人思い浮かびましたか?」
「えっ・・・」
何人って・・・っていうかなんでこの人はそんなに聞いてくるんだ?ちょっとした世間話の延長線上なのか?
「一人ですけど・・・?」
「・・・なるほど、では───」
と、その帽子の人がどこかに行こうとした時、いきなり・・・
`ザーザーザー`
「あ、雨!?」
そういえば霧響が今日学校に行く前に「無能な天気予報士は雨が降らないと嘯いていますが私の読みではお兄様の学校終わりぐらいには雨が降ります」とか言ってたな・・・冗談だと思って適当に流したせいで傘なんか持ってきてない!
「僕は傘を持っているのでこれに入ってください!」
「え、あっ、はい!」
なんで傘を持ってるんだ・・・まさか霧響と一緒で自分でわかったとかそんな理由じゃないだろうな・・・
「やっぱり今日の予報は外れましたね」
やっぱりって・・・普通はそういうのでわかるものなのか?こんな知らない人ですらこんなにすごいならやっぱり俺の周りがおかしいんじゃなくて俺がおかしいのか。それにしても────
「よかったー、もし相合い傘なんてしているところを初音に見られたら危なかったけど相手が男性ならさすがに浮気を疑われたりしないだろう・・・」
「・・・相合傘?」
この人は困惑している。
「あー、悪い、男同士でそんな気持ち悪いこと言って、でもちょっと俺の──」
「えっ・・・」
なぜかその帽子の人は傘から出た。
「な、何してるんですか!?雨に濡れますよ!?」
「ぼ、帽子をしているので大丈夫です」
「大丈夫なわけないでしょ!」
俺はすぐにその人の左手首を右手で引いて傘の中に入れた。
「・・・・・・」
「・・・?」
なんなんだ、いきなり反応がおかしくなったな。
「あの、だ、大丈夫・・・?」
「だ、大丈夫です」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
いや、絶対大丈夫じゃないな、やっぱり男同士で相合傘は嫌だからっていう理由でいきなり反応がおかしくなったのか?なら仕方ない・・・
「じゃあ俺傘抜けるんで、多分通り雨だと思うし・・・」
全くわからないけど、これ以上知らない人に迷惑をかけるわけにはいかない。初音と登校していない時に限ってこんなことになるなんて。
「ちょっ、ちょっと待ってくださいっ!」
今度は相手の人の方が俺のことを引っ張って引き留めた。
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