第221話霧響の散索と発見と怒り!
それからは荷物をまとめたりするだけで特に何もすることはなかった。そして霧響は俺の部屋で生活すると言い出し、それを咎めたりはしたけど結局はうまく言いくるめられてしまった。そして次の日・・・
「久しぶりの学校だな」
「そうだね、そーくん♪」
「・・・・・・」
霧響は学校にまでは着いてくることができないので強制的に留守番という形になってしまう。
「行ってらっしゃいませ、お兄様」
「あ、ああ・・・」
あれ、ちょっとは寂しがったりするのかと思ったけどそうでもないのか。まあ、年齢も年齢だし、ちょっとは兄離れしてくれたのかな。俺と初音は家を出て学校に向かった。
ー霧響Partー
「さて・・・」
お兄様と離れてしまうのは少し寂しいですが、昨日この部屋に入った時から思っていることがあります。それは・・・
「この初音さんの部屋・・・」
他の部屋とは明らかに違う扉・・・おそらく厳重に隠すべき何かがあるからだと思います。
「ですが、そんなことよりも・・・」
まずはお兄様の部屋を完膚なきまでに調べ上げなくては・・・昨日はお兄様も一緒だったので特に調べることもできず、お兄様の寝ている時もお兄様の寝顔に夢中で全然調べることにまで頭がいきませんでした。
「でも今はお兄様もいませんし、むしろ私のことをあんなにも長い間寂しい思いをさせたお兄様にはこのぐらいはして差し上げないと・・・」
さらに今も私よりも学校なんかを優先して・・・もしこれでお兄様の部屋から何か一つでも私の気に触るようなことがあれば、もう私は怒ります。
「・・・・・・」
私はそんな思いを元にお兄様の部屋のドアを開いた。
「・・・・・・」
一見この部屋にはお兄様が好きなライトノベルなどはありませんが、私は昨日あえてベッドの下などの定番な場所は見ていませんでした。それは、さすがにそんな定番なところになど隠さないという思い込みと、あとはもし私の気に触る何かがあった場合にお兄様の前で怒りを隠し通せる自信がなかったからです。私はベッドの下を覗くように体を屈ませた。
「・・・っ!」
「な、ななな、なんですかこれは!」
女の人の銅像・・・いえ、模型・・・?よくわからないですがとりあえず手のひらより少し大きいぐらいの色のついた女の人の銅像があります・・・
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ああああああああああああああああああああ!!!!!」
なんでお兄様はこんなものをベッドの下に隠していたんですか!隠していたということは何かやましいことがあるということで、それをお兄様自身も自覚しているということですっ!
「なんで白雪さんはこんなものを見逃しているのですか!」
本棚などを見たところほとんどのお兄様の本を捨てていると見ますが・・・なぜこんなものを見逃しているのか全く意味がわかりません!あの白雪さんがこれに気づかないとも考えにくいですし・・・
「お兄様が帰ってきたら即説教です!いいえ!説教だけは終わらせないですっ!」
私はお兄様のことを呪い人形に見立ててお兄様の手足に釘を刺し、お兄様の帰りを待つことにしました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます