第180話初音と結愛の再会と口論
「そーくんっ!」
「っ!?」
するとあの電話越しの声が今度は近くから聞こえてきた。後少し・・・後少しで何かを思い出せそうな気がする。
「チッ・・・」
結愛は舌打ちをした。舌打ち・・・誰に対してだ?さっきの猫に対してか?それとも──
「そーくん、思いだ──」
「そーちゃんっ!あれが虫だよっ!そーちゃんがおかしくなった原因の根源の虫!」
「・・・虫?」
何を言ってるんだ?思いっきり人間じゃないか。
「普通に人じゃないのか?」
「虫に化けられる虫なんだよっ!」
なんだそのメチャクチャな虫は・・・後付け感が半端ないな。
「は、は・・・?そんな虫いるわけないだろ!」
「私の言うことが信じられないのっ!?」
「えっ、いや・・・」
そう言われると反応に困るけどどう考えても相手は人間の女の子だ、それをむし扱いにするのはイジメとかそう言うレベルじゃない気がする。
「とにかくっ!そーちゃんはここで待っててねっ!害虫駆除してくるからっ!」
そういって結愛とあの女の子は俺の見えないところまで移動した。
「うーん・・・」
もしかしてあの人が結愛の言っていた俺が鬱になった原因の・・・寄生虫?
「さあ、本当に何が何だかわからなくなってきた」
でも少なくともわかることは俺は今普通のじゃないことに巻き込まれることがわかる。あの相手の人は正常な人なのか?多分俺に浮気とか言ってた人だと思うんだけど・・・どうなってるんだ?
ー初音Partー
やっと見つけた・・・服とかの発信機は全部外されてたけどさすがに下着までは確認してなかったみたい。まあ、下着なんて触れてたら殺すけど・・・って言うか今の時点でも十分に殺すけど。
「何の用?今そーちゃんと楽しく遊んでるから虫と戯れてる暇なんてないんだけど・・・」
「そう?猫カフェなんて行って・・・仲間探し?」
「・・・仲間?」
「泥棒猫でしょ?」
「っ・・・!泥棒猫はそっちでしょ?私は幼馴染なんだから」
「過去は過去、今は今、ずっと過去のことに囚われて・・・未来なんて見てないの?あっ、泥棒猫はそもそも奪うことに必死だよねー」
でも奪うことに必死ってことはそーくんが私のものだってわかってる証拠でもある。誰のものでもないならそもそも奪うなんて発想にはならないから。
「奪う?何言ってるの?そもそも今は今って言うなら今現在私とそーちゃんは楽しく猫カフェにいて寄生虫は寄生対象を失って迷子になってるんでしょ?」
「・・・・・・」
どれだけ話しても堂々巡り・・・なら、もう仕方ないよね。
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