第143話総明の成長?
う、浮気ってどういうことだ?俺は浮気なんかしてないぞ。まずは誤解を解こう。
『浮気ってなんだ?俺は浮気なんてしてないぞ?』
『へえ、じゃあなんで私に隠れて`文字`なんて読んでたの?』
『えっ・・・』
文字って、まさかラノベのことか!?な、なんでだ、どうしてバレたんだ?
『・・・・・・』
いや、今はなんでバレたかよりもどうやって誤魔化すかだ。
『あ、ああ、ちょっと新聞っていうかニュース?みたいなやつを読んでたんだよ」
『へえ、ニュースに向かって`可愛い`とか言うの?』
そっ、そういえば口に出てたかもしれない。ちょっとぐらいならバレないと思ったけど油断した・・・
『ま、待ってくれ──」
『`今謝ったら許してあげるけど`?』
『えっ・・・』
ど、どうする、ここで謝るべきか?いや、でも仮にここで謝って『あー、そうなんだ、じゃあ本当に浮気してたんだね・・・』とかって言って普通に殺される可能性もある。いいや、普通には殺されたくないけど。ならやっぱりこのまま誤魔化すべきか?でももしそれで誤魔化しきれなかったら──そうだ!
『わかった、初音、正直に言う』
『・・・うん』
『俺は初音に黙ってラノベを読んでた』
『・・・・・・』
『でも!それはなんというか、そう!好きな子にはいたずらしたくなる的なあれでやってしまったんだ』
『好きな子にいたずら・・・?』
『あ、ああ、ほら、好きな人にはもっとこっちを見てほしいだろ?』
『うん』
『だからちょっとルールを破ってみて初音に構って欲しいなあって、そのために可愛くもないやつに可愛いとかっていって初音に構ってもらおうとしてたんだ』
『ほ、本当?』
『本当だ』
もちろん嘘だ。可愛いと思ったから可愛いって言ったし、そもそも好きな子にいたずらしたくなるなんて言うのは付き合う前にあったとしても恋人同士・・・ましてや同棲中にそんなことをしたくなるなんて普通ならありえないけど初音は割とそう言うことをしてくるからなんとか理解してくれたみたいだ。
それにしてもこんな考えが一瞬で浮かぶようになるなんて・・・俺も成長したな。ふっ・・・いや、気持ち悪いな。っていうかそんな成長誰も望んでない!俺が一人でボケとツッコミをしていると、初音が心底悲しそうな声で言った。
『でも、演技だったとしても私以外の子に可愛いとか言わないでね?』
『あ、ああ、悪かったって・・・』
俺は割と本気で落ち込んでいる初音に謝った。そしてなんとかこの電子書籍作戦は終わりを迎えた。
『ちなみにどうやって俺がラノベ読んでるってわかったんだ?』
『ああ、そーくんのスマホ画面は常に私の部屋のモニターにモニタリングされるように設定されてるだけだよー』
『ああ、そうか、それだけのことかー』
それだけで済まされるわけないだろ!仮にも俺は男子高校生だぞ!プライベートは必要だ。
『まあ、それはいいとして、早くここを開けてくれー』
何気にもう俺の膀胱が悲鳴を上げつつある。
『んー、いいんだけど、あとちょっとだけ、ね?』
と、電話しで初音は悪魔的な声で笑った。
『いいから早く開けてくれー!』
その後俺はなんとか漏らす前にトイレには行けたけどその間は本当に地獄で初音に遊ばれまくった。
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