第142話電子書籍作戦
「ラノベが読みたいな・・・」
一応ラノベはあるんだけど全部怖い内容のやつしかない。『浮気した俺の末路・・・』とか『彼女に黙って浮気をした俺は・・・』みたいな感じでどう考えても初音が好きそう、っていうか俺に読ませたそうな話しかない。そろそろ異世界転生ものとか異世界転移とかそういうやつを読みたい。
「んー、なんかいい方法はないか?」
しばらく考えた結果俺はとある結論に至った。
「そうだ!でんし──」
危ない危ない、監視カメラとか盗聴器があるんだった。初音に聞かれたらややこしいことになる。とりあえず電子書籍を使えば初音にバレずにラノベを読めるんじゃないか?俺はすぐさま電子書籍をダウンロードした。
逆に今までなんでこんな簡単な発想も出なかったんだ?まさか初音に思考を誘導されていたとか・・・?
「・・・・・・」
いや、考えすぎか。いくら初音でも誘導尋問とか人身掌握術とかそんな技術を持ってるわけがない。俺はそんな考えは捨て、電子書籍でラノベを購入することにした。
「よしっ!」
読める!読めるぞ!さすがの初音でもスマホの画面までは覗き見ることなんてできないはずだ。監視カメラじゃスマホの細かい画面は見えないだろうし、直接見るわけにも行かない。つまりは──
`俺の完全勝利だ!!`
いつもは何夜間やで俺の思惑は初音の知識と思考と行動力の前に砕かれるが、さすがに今回は俺の勝ちだな──
`ズドドドド``ジュジュッ`
「・・・・・・?」
近くから工事をしているような音が聞こえてくる。マンションの工事の人か?タワーマンションでも一応こういう工事はやっぱりうるさいのか・・・防音だった気がするんだけどなあ。まあ、いいか。俺はその工事音に若干の苛立ちを覚えつつもすぐにラノベの方に集中した。やっぱりラノベのヒロインは最高に可愛い。
数時間後────
「よしっ、ひと段落ついたし、ちょっとトイレに──」
と、俺がドアノブに手をかけた瞬間。
`ガチャガチャ`
「・・・ん?」
鍵が閉まってるのか?試しに鍵穴を見てみるも・・・
「いや、閉まってるな」
じゃあなんで開かないんだ?
`ガチャガチャ`
「・・・・・・」
仕方ない、電話で初音に助けを求めよう。俺は初音に電話をかけようとすぐに電話アプリを開いた。が、俺はそこで驚愕することになる。
「な、なんだこれ!?」
初音の名前が`白雪初音`から`浮気者のそーくんを呪う`に変わっている。
「・・・っ!」
でも怖がってちゃダメだ。とにかく助けてもらわないと、俺はトイレに行けないんだ。俺は初音に電話をかけた。そして、初音はすぐに電話に出てくれた。
「初音!悪いけど外側から俺の部屋を──」
「なんで浮気したの?」
「えっ・・・」
電話越しにものすごく暗い声の初音の声が聞こえた。
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