第123話裸の浮気王子様
正直これは内容を見たくないな。主演が俺でこのタイトルな感じを見ると少なくとも俺にとってプラスになるようなことは書いてないだろう。でもここでもし俺が「あ、ちょっとお腹が…」とか言って抜けたらさすがに不自然すぎる。客観的に見たら俺がこのタイトルを見て`やましいことがあるから逃げた`と言う風に捉えられてもおかしくないし初音の変な想像力だとさらに酷いことになるかもしれない。
「見るか…」
俺は一度ため息をつき内容に目を通してみることにした。本来の裸の王様は俺の認識だと児童向けで主人公が嘘をつき続けた結果最後に痛い目を見て、嘘はついてはいけないというのを小さい子達に教えるための絵本だったはずだ。でも、初音の裸の浮気王子様は全く児童向けなんかじゃない。って言うかこんなのを自動に見せたら教育に悪すぎて軽くポルノになるレベルだ。
内容としては…主人公には1人の彼女がいたけど主人公は浮気をしてしまい、そして浮気相手と裸でいるところを彼女に見られてしまい痛い目を見る、と言ったような内容だった。本当はもっとなんか色々あるんだけど内容が下手な昼ドラとかよりも黒いので割愛する。
「えーっと、初音、これも俺は演じれそうにないから──」
「え?なんで?むしろそーくんの得意技でしょ?」
「だから俺は浮気なんて──」
「はいはい、それもセリフに組み込んどくねー」
「なっ…!」
なんなんだ、この作品だけは絶対に嫌だぞ。別に俺は浮気なんてしてないし他にやましいこともないけど初音に俺がやましいことがあると思われてる状態でそんなものを演じたら演技とかじゃなくて本当に殺されてしまいかねない。
「待て初音!こんなの新入生は楽しめないって…」
「新入生は高校生活…特に恋愛とかに興味津々だと思うよ?だから教育的な意味でも浮気したらどうなるのかって言うのは社会に出る前にちゃんと伝えておかないといけないと思うよ?」
「うっ…そ、それは──」
「なんでそんなに反論するの?もしかして本当にやましいことがあるから何かを隠したくてそんなに必死になってるの?」
「ち、違うって…」
でも今はそれを否定できるだけの根拠がない。ど、どうすれば…
「とにかくそーくんは──」
と、初音のその饒舌な口はピタリと止まった。
「そーくんが浮気…?演技だとしても…浮気?」
と、何かに気づいたように言う。そして…
「そーくん、そーくんを殺して私も死ぬから浮気なんてやめよ?」
「待て待て待て!だからそれは演技の話だろ?しかもまだ演じてないし…」
言ってることが無茶苦茶だ。自分から浮気役をさせようとしておいて…何か良い方法は──あっ!
「俺だって演技でも浮気なんてしたくないんだ、だからこれは取り下げだ、いいな?」
「あっ、ああ…そ、そうだね、うん、ごめん…」
と、なんとか事態は収束した。…が、結局まだ何も決まってない。
「…はあ」
今日は長い1日になりそうだ…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます