第116話初音の萎え

「・・・・・・」




 じれったい。そーくんの行動があまりにも遅すぎる。私にトラウマを与えようとして無理やり強気にしてる感があるし・・・でもまあそーくんもその気にはなってくれたみたいだしこのまま本番まで行きたいんだけど。




「よしっ・・・」




 そーくんはなんかもう満足気な感じだし、嘘でも泣いちゃったの失敗したなー。でも・・・




「・・・・・・っ」




 満足気とはいえ、まだそーくんは私の髪の毛を触ってくれている。そのままどこまでも触ってほしいけど次にどうしていいかわからないとそーくんの手つきからでも伝わる。


 もしかしたら今日こそは本当にそーくんをヤる気にさせられるかもしれない。




「・・・っ」




 私はそーくんを誘うようにわざとボタンを外した。ちょっとコンプレックスのある胸だけどそーくんは女性経験なんて無いんだし胸の大きさの差なんてそんなにはわからないはず・・・っていうかもしそーくんが他の女とこんなことしてたら──




「・・・・・・ごほっ」




 そ、想像しただけで殺意が湧いた。流石にこれはそーくんは何も悪くないけどそーくんが私以外の女とそういうことをしてる姿を想像したら吐き気が催した。




「えっ、は、初音・・・?」




 そーくんが焦っている。多分だけど「もしかして、やりすぎたのか?」とか思ってそうだけど、そんな風には思われたくないので私は余裕気に言う。




「そーくん、私を襲うならもうちょっと‘勉強‘してからね?」




「えっ・・・い、いや」




 よし、これだけ言えば大丈夫だろう。こんな程度でやりすぎなんて思われたら今後絶対に初夜をそーくんと遂げることはできないだろう。だから、ここだけは。


 そして私は自分の部屋に戻ると特に眠くは無かったけど気分は最高潮に悪いので布団の中にくるまることにした。




ー総明partー




「・・・・・・」




 あれは、どうなんだ?成功したのか?最後はだいぶ余裕気だったけど何かを隠すために余裕な感じの演技をしているようにも見えた。




「・・・あっ、そ、そうか」




 実はトラウマになるほど怖かったけどそれを隠すために余裕気にふるまったのか?




「いや、そんな感じでもないよな・・・」




 っていか途中からはなんか初音の反応が過剰だったし・・・ま、まさか。




「初音に踊らされた・・・?」




 いやいや、あそこまでリアルに泣いたりとかできるもんなのか?いくら演劇部にいたからとはいえ・・・




「怖すぎる・・・」




 いや、初音が怖いのは知ってたけど今日に関しては一体どこからどこまでが計算だったんだ・・・?

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