第81話転校生は結愛

 おいおい、嘘だろ!?確かに可愛いし胸も大きいしスタイルも良いけど転校生って結愛のことだったのか!?でも一体どんな手品使ったら一週間で転校なんてできるんだ?




「じゃあ桃雫さんは一番扉に近い列の一番後ろの席でお願いねー♪」




「・・・はい」




 結愛は落ち込んだ様子で指定された席に着いた。俺とは真反対の席だ。




「ふふっ・・・」




 初音が一瞬鼻で笑ったような気がしたけど多分気のせいだろう。




「私とそーくんの愛に付け入る隙なんてないってこと♥」




 ・・・多分気のせいじゃなかった。っていうかまさか学校に結愛まで増えるなんて・・・また浮気を疑われる要素が増えてしまった。せっかく最近は月愛とだけはちょっとだけ信頼してくれてたのに・・・ちなみに信頼するようになった原因は敵同士とはいえ少しだけゲームで遊んだから、ということらしい。とはいっても初音がいないところで話したりしたらそれこそ信頼なんてものはなくなるだろうから細心の注意を払わないといけない。




 そんなことを考えていると一限目はあっという間に終わり今は休み時間に入った。




「そーちゃーー」




 と、結愛が俺の席まで来ようとしたがすぐに他の生徒によって遮られてしまう。




「桃雫さんって前はどこに住んでたの?」




「好きな食べ物とかある?」




 このようにして転校生は全員食らう謎の質問攻めを食らっている。でもなんだろう、俺の時よりもみんなどこか熱気が違う。まあ、結愛が美人ーー危ない危ない。この先は考えるだけでも危険だ。




「桃雫さん彼氏いる?」




「いるよ」




「「「「「・・・・・・」」」」」




「「「「「えええええええええええええええ!?」」」」」




 おいおい、彼氏さんいるのに俺のことを婚約者だとか言ってたのか。もし今度その彼氏さんに会うことがあったら告げ口してやろう。




「えー?どんな人ー?」




「どんな人って・・・このクラスにいるよ?」




「「「「「・・・・・・」」」」」




「「「「「えええええええええええええええ!?」」」」」




 いやいや、俺も驚いたけどさっきと全く同じ反応をするな。それにしてもこのクラスに結愛と釣り合うような男子なんているのか?




「だれだれー?」




「王子様!」




「・・・・・・王子、様?」




 ・・・やめろおおおおおおおおおお!!俺の黒歴史!!っていうか前まで普通に俺の名前読んで・・・はなかったど‘そーちゃん‘って呼んでたくせになんでよりにもよってこんな講習の場で王子様なんて呼ぶんだよ!




「誰のこと?」




 で、でもそうだ。ここにいる人たちは転校前の俺のことを知らない。つまり、王子様じゃ俺だってことはわからない。だったらこのまま知らないふりを続けていればーーーー




「誰って、もちろんっ!最王子総明君のことだよっ♥」




「・・・はあああああああああ!?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る