第79話そーくんはちょろい
俺は水族館から家のエントランスに入った瞬間にここ最近は地下監禁生活だったのでまたも地下に向おうとしたが・・・
「待って」
「えっ・・・?」
「もう地下に行かかなくてもいいよ、私の方が寂しくなっちゃった・・・」
「初音・・・」
どうやら俺も一人で寂しかったけど初音も一人は寂しかったらしい。
「でも、これでそーくんは私がいないと何もできないってことがわかったでしょ?」
「ま、まあ・・・」
掃除は何とか出来たけど料理に関しては冗談抜きで壊滅的だ。もう二度とアニメや漫画の料理が下手なヒロインキャラクターのことをバカになんてできない・・・
「そーくんなんか他の女の子と考えてない?」
「か、考えてない・・・」
嘘は言ってない。ヒロインといっても二次元の話だし。っていうか感が本当に鋭すぎるだろ・・・
「ふーん、まあいいや、じゃあ私たちのお家に帰ろっ!」
「ああ」
そして俺たちは俺たちの家の中に入った。が・・・
「な、なんだこれ・・・」
俺の部屋の中に入ると俺の部屋はだいぶ荒れ果てていた。ベッドはぐしゃぐしゃになり、服は部屋中に散らかされていた。・・・事件でも起きたのか?
「ああー、ごめんね?ちょっとそーくんがいないのが寂しくて、どうにかしてそーくんを感じたくて・・・」
「いやいや!ちょっとじゃないだろ!なんでこんなになる前に俺を地下室から解放しなかったんだ!?寂しいなら寂しいって言えばいいだろ!?」
「ご、ごめん、でも、私寂しくて・・・うう・・・」
初音が突然涙をぽろぽろと流し始めた。・・・う、嘘だろ?つ、強く言い過ぎたのか?
「い、いや、強く言い過ぎた、ごめん」
「うん・・・」
そういうと、初音は「顔を拭いてくる」と言って洗面所に向かった。
ー初音partー
「ふふっ・・・」
私は自分の顔を鏡で見ながら笑っていた。やっぱりそーくんは‘ちょろい‘。ちょっと涙を見せただけですぐに論理的思考から感情的思考に変わってしまう。
でも、それはそーくんの良いところでもあり悪いところでもある。浮気しやすい性格になった原因の一つはその‘ちょろい‘性格のせいだからだ。
「まあ、私だけにちょろいならいいんだけどなあ・・・」
でもそんなに世界はうまく回ってない。そーくんと私の間だけのことを世界っていうなんて、って世間的にはバカにされるのかもしれないけどそれでも私にとってはそーくんと私だけが私の世界の住人で後の人間は蚊帳の外。
そして、それを物理的に現実にするためにも、そーくんの周りに集る虫は私が駆除しないといけない。そーくんは虫を無意識に集めてしまうのは得意でも‘駆除‘は苦手だから・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます