第62話彩音の恋心?
「総明はお姉ちゃんのどこが好きなの?」
「は、はあっ?!い、いきなり何を・・・」
と、総明は照れたような、驚いたような、そのどちらともとれる表情になった。
「だって、もう復縁したんでしょ?」
「な、なんでそのことを・・・」
「そんなの見てればわかるよー」
と、私は反応を濁す。実は総明のスマホに盗聴器を仕掛けてた、なんて言えるわけもない。も外してるけど・・・
「で?どこが好きなの?」
「どこがって・・・」
総明は反応に困る、と言った感じで私から顔を背けた。なので私はその総明が顔を背けた方に移動し、真正面に向き直ってからも一度聞く。
「お姉ちゃんのどこが好きなの?」
「うっ・・・」
「まさか、押されたからとりあえずでOKした、みたいな?」
だとしたら、嬉しい・・・え?嬉しい?
「いや!俺はそんな最低なやつじゃない!!」
「じゃあ、なんで?」
一瞬自分の感情が分からなくなったけどすぐに正気を取り戻す。そう、総明はそんな最低な人じゃない。だからお姉ちゃんが浮気してるって思ったときあんなに落ち込んでたんだし・・・
「そ、そんなこと、初音にならともかく師匠に言わなくてもいいだろ!?」
「・・・・・・」
今日の総明はどうやら生意気なんてレベルではないぐらい生意気らしい。これはちょっと一応師匠である私が躾をしないといけないのかもしれない。
「総明?」
「ん?なん・・・!?」
総明は驚いたように私の右手に持っているスマホ画面を見る。その画面には総明が・・・をしているコラ画像と、あと一回画面をタップするだけでその画像がSNSに投稿される画面が映っていた。因みに私のフォロワー数はお姉ちゃんよりも少しだけ多くだいたい700万人ぐらい。
もちろんその表記もそれとなく画面右下に載せて、総明を脅かしている。まあ、これはスクショだから投稿できないしもともとする気も無いけど・・・
「このボタン押したらどうなると思ーーーー」
「初音と付き合った理由は初音が嫉妬面以外完璧で優しいからだ!ほら、これでいいだろ!?」
変わり身の早さがすごい・・・やっぱり普段からネットとかを見ている総明はネットの怖さを知ってるらしい。でもそんなすぐにばらされても引き下がるわけないのに・・・
「じゃあ、もし仮に私が総明に告白したらどうする?」
えっ、私何言ってーー
「そんなの断るに決まってーー」
「な、なに本気で答えてんの?冗談だから」
「し、心臓に悪い冗談を・・・そういうところも初音そっくりだな」
という総明を尻目に私は自分が自分でわからなくなっている。私は生まれてから恋というものをしたことがなくて、でもお姉ちゃんが恋というものをしてから一気に楽しそうになってたからどんなものか知りたいって思ったけど・・・これが、恋?
「でもびっくりしたあ、いきなりあんな画像を見せられたら心臓止まるって」
「・・・・・・」
いや、そんわけないか。私がこんな総明を好きになるなんて・・・そんなわけない、よね。
そしてしばらくしてお姉ちゃんが家に帰って来たので私はそれと入れ違いで自分の家に帰ることにした。
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