第46話彩音の謎の行動
家に帰ると、すでに時刻は夜8時を指していた。楽しい時が経つのは早いな・・・楽しい、か。
「そーくん!楽しかったね!!」
と、俺の思考を読むように話しかけてきた。・・・本当にメンタリストとかに向いてると思う。
「ま、まあ・・・」
そんな感じの会話をしながら今日買った色々なグッズ的なものを整理していると、家の中にインターホンの音が鳴り響いた。
俺はそれにすぐさま気づき、インターホン越しの人に返事をする。
「はい」
「あ、総明?開けてー」
と、インターホンのカメラの前に彩音が立っている。俺は促されるがままに扉の前に行き、鍵を開けた。
「こんばんにゃ!」
「・・・はい」
可愛くないぞ、この小悪魔、と、言おうと思ったけど、師匠も初音の血を引いているからかどことなく危ない雰囲気を醸し出しているのでそんなことを言えるわけもない。
「で、何しにここにきたの?」
「あー、そうそう、明日お花見でしょー?だから、これ!」
と、言って、師匠が持ち出したのはボディーアーマー?のようなものだった。
「こ、こんなの何に使うんだ?」
「何にって、もちろん護身用に決まってるでしょ?」
「護身用って・・・」
お花見行くだけでボディーアーマー装着するとかかなりの異常者だろ。っていうかリアルでボディーアーマーとか初めて見たけど思ったより薄いんだな・・・
「まあ、いらないならいっか」
と、彩音は手にしていたボディーアーマーをバッグの中に折りたたんで入れた。・・・あ!そうだ!師匠に相談したいことがあったんっだった!!
「師匠ーー」
・・・いや、でもやっぱり自分で答えを出した方が良いか。
「ん?どーしたの?」
「いや、なんでもない」
「絶対なんかあるでしょー?」
「なんでもないって!」
と、そんなやりとりをしていると、場違いすぎるくらい重い声が俺の耳に聞こえてきた。
「そーくん、何私が知らないところで女連れ込んでるの?せっかく明日お花見なのにそーくん車いすは可哀そうだと思ってたんだけど、まあ、仕方ないよねーーーー」
「いやいや!初音の妹の彩音だから!」
「だから何?性別は女でしょ?」
おいおい、さすがに狂いすぎじゃないか?
「まあまあ、お姉ちゃん、私がお姉ちゃんの‘婿さん‘に手出すわけないじゃん」
「む、婿さん・・・」
初音は何かを考えこみ、そして・・・
「そ、そうだね、ごめん」
「ううん!いいよ!私の方こそごめんね!」
・・・扱いに慣れすぎだろ!さすが師匠だ!!
「で、じゃあ、彩音は何しに来たの?」
「ううん、別に?ちょっと顔見に来ただけー」
「そう?」
「うん、じゃ、私帰るねー♪」
そういうと、初音は宣言通り彩音はこの家を後にした。本当にそれだけできたのか・・・っていうかボディーアーマーっていうのは何だったんだ?護身用って・・・あ。
「じゃあそーくん、私ちょっと明日に備えて研いでくるねー♪」
そういうと、初音もどこかに消え去った・・・え?研ぐ?何を?まさか・・・包丁?
「包丁で・・・護身用のボディーアーマー・・・!」
まさか!
「・・・・・・」
いやいや、そんなわけない、よな。俺は自分がいかに頭がおかしくなったのかを痛感しつつ自分の部屋に戻った。
ーーーーーーーー
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「早く付き合ってくれないと、私がもう・・・」
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