第20話初音による監禁②
・・・2000秒ぐらいまで数えたけど、もうかなり前に辞めた。今が何時なのかもわからない。ただ、俺はただゾンビのように水を欲している。
バタン
「そーくん!おはよー!」
・・・!初音の声だ!水、水を・・・
「は、初音・・・み、水を・・・」
「あー、うん、苦しそうだったね」
「・・・え?」
まさか、見てたのか?いつまでかはわからないけど、少なくとも俺のことを監視できる環境下らしい。
「ごめんね?でも、これでもう懲りたでしょ?」
「いや、だから、俺は浮気なんて・・・」
「まだ反省してないの?」
・・・ど、どうする?ここで「反省したから水が欲しい」っていうか?いや、していないことを認めるなんて絶対にダメだ!でも・・・俺の精神力でそれがいつまで持つかわからない・・・それでも。
「だから、俺は本当に浮気なんてしてないって」
「・・・まだ、みたいだね、まあ、いいや、じゃあ私は学校に行ってくるから!おとなしく待っててね!」
「え、俺は・・・?」
「待っててね?」
「・・・・・・」
そしてまたもやバタンという音がこの部屋に響き渡った。・・・またあの地獄が続くのか・・・
次初音が来た時に俺は認めないでいられるのか?・・・人間は3日ほど水分と食料を食べなければ死んでしまうらしい。俺は今そのうちの6分の1を体験した。あとこれが5回分続けば俺は死ぬことだろう。
まあ、さすがに浮気したと思われていてもそれだけで俺を殺したりは・・・するな。
初音なら普通に俺のことを殺してもおかしくない。っていうかここはどこなんだ?監禁なんて立派な犯罪・・・っていうのはもう同棲中だから通じないんだっけ。
俺が「実は同棲なんてしてません!」なんて言っても初音のことだから俺が同棲するって言ってた時の音声でも録音しているんだろう。
「はあ・・・」
・・・特にやることも無いので、俺は深い闇に行くことにした。・・・かっこよく言ってるけど眠るだけだ。
バタン
「ーーーーっ!」
またもバタンという音で目が覚める。おそらく初音だろう。そして、初音が帰って来たということはもうすでに午後5時は過ぎている頃だろう。
「そーくん、反省した?」
「は、初音・・・もう、さすがに限界だと思う、は、早く水をーー」
「反省した?」
・・・ここを逃したら次のチャンスは次の日になるのかもしれない。それまでは、さすがに精神が持つ自信がない。水、水、水、水、水、水。
い、生きるためには、手段なんて選んでられない、そうだ、これは仕方がなーーぐちゃ
「はあっ、はあっ、はあっ」
「そーくん!?」
俺は正気を保つために、軽く血が出る程度に舌を噛んだ。そうだ、冷静になれ、一度でも認めてしまえばすべてが終わりだ。だから絶対に認めないぞ・・・
「俺は、本当に浮気なんてしてないからな・・・」
「・・・・・・本当なの?」
「ああ」
もうもはや付き合ってないから浮気も何も関係無いなんて言えるわけもなかった。
「・・・わかった、じゃあ水分持ってくるね」
「あ、ありがとう」
どうやら水を持ってきてくれるらしい。水分という言い方が気になるけど、まあ、水ならもうなんでもいい!そしてしばらくして、俺の口元にコップが添えられた。
そして・・・
「ゴクッゴクッ」
「どう?」
「ああ、うん」
・・・なんだ、この飲み物、なんかやたらとドロッとしてる気がする。
「は、初音、これってなんて飲み物?」
「初音特性唾液飲料だよ!」
「・・・・・・」
俺は放心した、さっき俺は喜んで飲んでたのが唾液?約1日間水分を取っていなくて、あれが唾液と知らなかったとはいえ、完全に変態じゃないか・・・
「あっ!唾液ってわかっても吐き出したりしないってことは本当に浮気はしてないんだね!だって、もし浮気してたら私の唾液なんて吐き出してるもんね!ごめん、そーくん、すぐに拘束解くね?」
と、なんかただ放心していたことをポジティブにとらえてくれて、俺の拘束が解かれた。・・・
「こ、ここは・・・」
「私たちのマンションの地下だよ?」
「地下?」
確かにそんな雰囲気だ。っていうかなんだ、この独房みたいな雰囲気・・・いや、それより、
「なんで初音がこのマンションの地下室なんて入れるんだ?」
「なんでって、ここが私のお父さんが作ったマンションだからだよ?」
「・・・は!?」
嘘だろ!?お金持ちとは思ってたけど、こんな高級マンションを建てたられるぐらいお金があるのか!?しかもここ高そうだし、何部屋もありそうだし、どれだけお金を持ってるんだ。
もしかして、警察とかにも知り合いがあるのか?だとしたら初音は多少の犯罪ならできるってことになるんじゃ・・・いや、そんなわけないよな、はは。
「まあ、そんなことどうでもいいじゃん!早く家に帰ろっ!」
「あ、う、うん」
そして俺はたった1日だけだけど、それが1週間にも感じられるほどの監禁を経て俺たちは自分たちの家に戻った。
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