陰陽学園の鬼 ~強くて愛が激しい美少女たちを助けたら全員から迫られてラブラブになったオレ。そして運命の契りで鬼神の根源を取り込み十二天将を従える王になる物語~
第120話 救国の英雄は、エッチで頭がいっぱい
第120話 救国の英雄は、エッチで頭がいっぱい
東の空が白んで辺りが明るくなってきた。
山の上部がルリ達の攻撃で吹き飛んで、封印施設の建物も破壊されボロボロになっている。辺りの惨状を見ると、全員無事に生き残ったのが信じられないくらいだ。
ルリが森から戻り、玉藻前の怨霊が消滅したことを話した。
約千五百キロも移動し続け、様々なトラブルに見舞われながらも、春近たちは一人も欠ける事無く勝利したのだった。
「勝った……勝ったぞ! やった!」
喜ぶ春近のところにルリが飛び込んで行く。
「ハルぅ~」
「ルリ!」
春近とルリが抱き合おうとした瞬間、いつの間にか天音が戦闘時よりも速そうなスピードで抱きついていた。
むぎゅぅ!
「ハル君!」
「えっ、あ、天音さん、いつの間に?」
死角になっている位置からの、フェイントをかけた華麗なステップと高速ドリブルのような、欧州サッカー最優秀選手も顔負けなスピードとテクニックだ。
彼女が女子サッカー日本代表になれば、ワールドカップ優勝間違いなしだろう。
「さっきのハル君、皆に指示出してリーダーシップがあってカッコ良かったよ」
「そ、そうかな。ありがと……」
それとなく男心をくすぐる天音に、満更でもない春近だ。ただ、そんなのをルリが許すはずもなく……。
「ハルぅ! なにデレデレしてるのかなぁ?」
ルリが春近に抱きつこうと広げた手のままで睨んでいる。
「ううっ、それは……」
「ハル、おっぱい揉みたいんでしょ! ほらほらぁ♡」
「えっ、あれは演技……えっと」
ルリ……あれは作戦だったんだけど……何だかルリだけ気付いていない気がする――
春近の想像通り、ルリは作戦だと気付いていなかった。本当におっぱい揉みたいのだと誤解している。
「ぼら、ハルぅ、おっぱいだよ~♡」
腕を前で組んだルリが巨乳を強調する。
「ごくり……」
目の前にルリの魅力的な巨乳が……
もう、作戦じゃなく、おっぱいということにしてしまおうか?
そうだ! おっぱいは正義なんだ! おっぱいは宇宙の真理なんだ!
ルリが触って良いと言っているのだがら、少しだけ――――
春近が、ルリの胸に手を伸ばそうと腕を前に出した時、周囲から視線が集中していることに気付く。
「「「ジィィィィィィィィィ――――」」」
胸を触ろうとしている春近を、皆がジト目で見ていた。
「はっ……こ、これは、違うんだ。睡眠不足と疲労で、つい本能が出てしまって……って、オレは何を言っているんだぁぁぁ!」
誤魔化そうとして本音が漏れる春近に、他の彼女たちもジリジリと迫ってきた。
「ずるい、うちも~」
「アタシも頑張っただろ!」
「土御門!」
「春近くん」
皆が一斉に抱きついて来て、春近は揉みくちゃになってしまう。
「ぎゃああっ! おっぱいがいっぱい」
結局、作戦だったはずのおっぱいに囲まれる春近だった。
「あの……エッチは戻ってからにして下さいね」
三善が恐る恐る声を掛けるが、誰も聞いちゃいない。
皆もこの丸二日間ろくに寝てないので、とりあえず旅館に移動することになる。全員無事に一連の殺生石騒動を乗り切り一件落着だ。
しかし、春近は皆から『おっぱい大好き男』の烙印を押されてしまった。
「そういえば、渚様の姿が見えないけど?」
いつも強引に迫る渚がいないのを春近が気にする。傍若無人でドS女王の彼女だが、居なければ寂しく感じてしまうものだ。
「渚ちゃんは、麓で交通整理をしてます」
忍が説明する。
渚は忘れられていないか心配していたが、春近は彼女のような個性的な女子を忘れられるはずもなかった。むしろ、あの強引で少し変態なドS女子が恋しくて仕方ない。
――――――――
クルマで麓まで下りると、渚が道の隅で膝を抱えて座っていた。
少し涙ぐんでいるようにも見える。
バタンッ!
春近が車を降りて駆け寄る。
「あ、あの……渚様」
「遅い! いつまで待たせるのよ! 忘れられたかと思ったでしょ!」
「渚様……」
いつも強気な彼女が、今は健気で可憐な女子のように見える。
これには春近もギャップ萌えだ。
何だか、渚様が凄く可愛く見える。
もしかして……寂しくて泣いちゃったのかな?
もう、渚様ったら、かわいくなっちゃって。
「何、笑ってんのよ!」
渚の威圧感が十倍くらいアップする。
ぎゅぅぅぅぅ~っ!
渚がギッチリと抱きつき離れない。
「す、すみません」
「もうっ! 絶対放さないから」
渚の機嫌を取る為に、仕方なく彼女の乗るクルマを変更させた。今はルリたちが乗る車の後部座席で、春近の膝の上に乗って抱っこされていた。
その渚といえば、狂気と愛情が入り乱れた瞳をうっとりとさせ、春近の顔を数センチの距離から凝視し続けているのだから恐怖だろう。
「ねえっ、春近……あたしの目を見なさい」
「ううっ、な、渚様……凄い……」
額と額が当たりそうな距離で見つめ合いながら、渚の魔眼のような瞳で射すくめられる。
「ハルのバカ! アタシにも、後でキッチリ埋め合わせしてもらうからな!」
これには咲も黙っていられない。
目の前でイチャイチャされては文句も言いたくなるだろう。
「もう! そうだよ、私もキッチリ中で出してもらうからね!」
ルリも同じように文句を言う。
何か問題発言のような気がするが、言い間違えただけということにしておこう。
――――――――
「もう、何で私が」
春近たちの後ろを走るクルマの中で、遥が声を上げる。
渚が春近の車両に移動した為に、遥が忍やあいの方に乗ることになってしまったのだ。
遥は、この三日間というもの、春近にイチャイチャを見せつけられたり、ちょっとカッコイイ所を見せられたり、また他の子とのエッチなことを見せつけられたりで、気持ちがぐちゃぐちゃだ。
「やっぱり、春近君なんて嫌い!」
そう言う遥だが、好きになったり嫌いになったりで、乙女心が揺れに揺れまくる。この揺れ幅が、更に彼女の恋心をくすぐるのだが。
「あーあ、遥っちも堕ちかかってるかぁ」
「皆、最初はそんなこと言ってるんですよね」
あいと忍に横やりを入れられて、遥がムキになって反論する。
「そ、そんなんじゃないから! 私は普通の恋愛がしたいのに」
だが、春近が他の女とイチャイチャしているのを見てイライラしているのだから、説得力は無いのかもしれない。
――――――――
「はあぁ、ハル君とエッチしたいなぁ」
三台目のクルマの中で天音が呟く。
もう、本音が漏れまくりだ。
「またおまえは、そんなことばかり」
いつものように和沙がツッコんだ。
「和沙ちゃんもエッチしたいくせに。 知ってるんだから、毎晩ベッドの中でハル君を妄想してイケナイコトしてるの」
「ななななな、な、何で知ってるんだ! わわ、私は、そんにゃこと……わあああああ! 内緒にしてくりぇえええ!」
天音にからかわれて、和沙が興奮してカミカミになってしまう。
「和沙、うるさい」
黒百合は気付いている。和沙が勝手に墓穴を掘っていることに。
天音は知っている訳ではなく、適当に
――――――――
三台のクルマは温泉旅館に到着した。
昨夜の毒ガス騒ぎのせいなのか、陰陽庁担当者が無理やり予約を入れたせいなのか、他の客が居らずひっそりと静まり返っている。
「ちょっと、もう朝になっちゃったじゃない! もう二泊くらい入れときなさいよ」
せっかくの温泉旅館も朝になってしまい、渚が更に連泊を要求する。
「Yes,Your Majesty. 女王様の仰せのままに! 予約を延長しておきます」
相変わらず担当者は、女王に忠誠を誓う騎士のようだ。
「あと、あたしの部屋に春近を貢物として差し入れるように」
「Yes,Your Majesty. 春近を捧げよ! ビシッ!」
担当者が決めポーズをとっている。
「ちょ、どさくさに紛れて何言ってんの!」
「春近を捧げよ!」
「だ、ダメだこりゃ……」
クリスマスの日――
この緊張感の無いメンバーが、日本を大災厄から救った。
夏のクーデターに続き、二度も国家存亡の危機を回避させた救国の英雄なのだが、とてもそうは見えないお気楽さだ。本人たちは、これから起こるであろう温泉でのエッチなイベントに頭がいっぱいなのだから。
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