第23話 何でもするって言ったよね?

 放課後に改めて説明する事になり、掻い摘んで要点を話した。


「まだ増えるの?」

「浮気者っ!」


 ルリと咲は反対している。

 そりゃ、他の女子を攻略しよなどという計画に無理があり過ぎる。

 まるで美少女ゲームのハーレムルートのようである。


「皆さん、これが最良の方法なんですよ」

 栞子が説明する。

「この作戦が上手く行き、鬼の転生者が人と共存でき安全な存在であると証明できれば、先日のような強硬策が採られる事は無くなると思うのです。その点では皆さんも共感してもらえるはずです」


「それは…そうだけど……」

 ルリは納得いかない顔をしている。


「それに、まだ他の鬼の転生者が旦那様を好きになるとは限らないですわ」


「いや、絶対好きになっちゃうもん…… あと、旦那様って言うのやめて!」

 ルリは、平和的な解決には賛成なようだが、他の転生者が春近を好きになると思っているようだ。



 うーん……

 このままではマズいよな……

 ここはオレが何とかしないと……


「みんな、色々と迷惑や心配をかけちゃうけど、オレに出来る事なら何でもするから協力してほしい!」


「「「「えっ!」」」」

 ピキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィーン!!


 一瞬皆の目が光る。



 何でも! 今何でもって言ったよね!

 何でもという事は……あんな事も、こんな事も、朝まで……あれで……こうして……

「ふふっ……ふふふっ……」

 ルリが熱のこもった目を春近に向けニヤニヤしている――――



 何でもだとっ!

 だったら……二人っきりで……デートして……初めてのキスを……

「ふにゃ……」

 咲が顔を真っ赤にしている――――



 ん? 今何でもするってキタァァァァァー!!

 これは……何でもという事は……あんなプレイも……

「ふひっ……ふふっっ……」

 杏子が危険な顔をしている――――



「何でもですって……もちろん“まぐわい”ですわ! ふふふ……子種をいただきます旦那様!」

 栞子は心の声が漏れている――――



 とても危険な発言をしてしまったと感じたが、もう後悔しても遅いようだった――――

 彼女らは、何でもしてもらう気満々でニヤニヤと怪しげな笑みを浮かべている。


 マズい……

 何か非常にマズい事を言ってしまった気がする……


「お手柔らかにお願いします……」

 もう取り消しはさせてもらいないようなので、春近は半分諦めつつもう半分は忘れてくれる事に期待した。




 下校して寮までの帰り道――――


 自然と咲と並ぶようになる。


「あの……」

「あの……」

 同時に話初めてしまう――――


「あ、だから……返事はまだしなくていいから」

 咲が話し出す。

 返事とは告白の事だろう。


「で、でも……」


「いいから……でも、アタシがハルを好きって事だけ覚えておいて!」


「うん」


 夕日に照らされた帰り道で、二人の顔が赤く染まっていた。


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