陰陽学園の鬼 ～強くて愛が激しい美少女たちを助けたら全員から迫られてラブラブになったオレ。そして運命の契りで鬼神の根源を取り込み十二天将を従える王になる物語～

第12話 予兆

　翌日――――

「昨日はヒドイじゃないですか」

　教室に入り席に着くと、隣の席の杏子が話しかけてくる。

「私を置いて行っちゃうなんて」

　春近は思い出した。ルリたちのことでいっぱいいっぱいだったが、杏子の件もあったのだと。

　あ……その事か……

　咲を追いかけるのに必死で、鈴鹿さんの事を忘れていた。

「ごめん、ちょっと色々あって……」

「もうっ、誰かに襲われたらどうするんですか。これからは、なるべく一緒に居てもらいますからね」

　杏子はイタズラっぽい笑みを浮かべて冗談っぽく言った。

「おはよー」

「おはよ」

　ルリと咲が教室に入って来る。

「おはよう」

　ササッ

　何故か杏子が春近の後ろに隠れてモジモジしながら――――

「おは……よ……ごさいます」

　と意味深な態度をとる。

　――――ちょっ、また誤解されそうな事を……

「あれっ？　ハルってその子と仲良いんだ？」

　ルリは笑顔で言った。

　顔は笑顔だが、少し威圧感のある目をしている気がする。

「どうせ、朝からイチャイチャしてたんだろ」

　そして咲が火に油を注ぐような事を言う。

「土御門君、土御門君」

　更に背中に密着した杏子が、指でツンツンと春近の背中を突きながら小声で言う。

「わ、私も、酒吞さんたちの仲間になれるように口添えしてくださいよ」

「えぇぇ……自分で言えば良いのに」

　咲が凄い顔で睨んでいる。

　確かに、背中にピッタリくっついてコソコソしていたら、傍から見ても怪しいかもしれない。

「なにコソコソ話してんだよ」

「えっと、鈴鹿さんが、ルリや咲と友達になりたいんだって」

「はぁ？」

「ひっ！」

　咲の迫力で杏子が怯んだ。

　咲の方は少し柔らかい口調になって話しかける。

「あっ、べつに友達になるのはいいんだけどさ。ハルがエロい事するかもしんないし……」

「あ、大丈夫です。私、男の人は苦手なので、そういう事にはならないかと」

　――――えぇぇ……オレも男なんだけど……

　――――はぁぁ……いかにも男好きそうに見えるけど……

　ハルと咲は同時に心の中でツッコミを入れた。

　こういう一見地味そうに見える女が一番危ないんだよ……　咲は、そんな感想を持った。

「私もかまわないよ。友達になろっ」

　ルリは屈託のない笑顔で答えた。

「はぁ～良かった～昨日は土御門君にエッチな調教されそうになったけど、なんとか無事解決できて良かったですよ」

「はぁ！？」

「はぁ！？」

「いや、それは鈴鹿さんの妄想でしょ！！」

こうして、鈴鹿杏子が仲間に加わった。

　学園で平穏な時間が流れている頃、すでに裏では事態が刻一刻と動き出していた。

　陰陽庁は特級指定妖魔酒吞童子の転生者を危険と判断し、捕縛または鎮圧する命令を出した。

　陰陽学園の源頼光栞子と頼光四天王にも作戦決行の通達が届く事になる。

　ルリを廻る状況は急展開を迎える事になった――――