第24話 再度のゴフテス

 

 とりあえず、ゴリラもといゴフテスに挑むことになったのだけど、今は移動も終えてBOSSエリアの前にある廃墟でゴフテスと戦うための準備をしている。


 さっき会ったゴフテスを一緒に討伐することになったプレイヤーのNAMEはリラで、RACEはドラゴニュートの土属性らしい、と言うかステータスを見せて貰っているからそれは確実なのだけど。


 それで、そのリラが現在ログアウト中なので、時間つぶしに準備という理由を付けて【調合】で前に使った毒液玉を作っていた。

 うーん、当然だけど前に作ったやつよりQuが良い。【調合】の熟練度というよりは、ちゃんとした生産装備で作っているからかな。


「今、戻りました。お待たせしてしまい、ごめんなさい」

「ん? 別に謝る必要はないです…よ」


【調合】の方に集中していたから気付かなかったけど、いつの間にかにリラが戻って来ていた。


「いえ、でも、手伝って貰う側の私が……」

「ただ待っていた訳じゃないから別に問題はない……です」

「……そうですか、ありがとうございます」


 別に感謝もいらないのだけど。そもそも生きている以上生理現象をどうにかできる訳でもないし。



 そして、リラの準備が整ったところでゴフテスの戦闘フィールドに入る。


『アナウンス

 エリアBOSSの戦闘フィールドに入りました。これからエリアBOSS:【岩腕のゴフテス】との戦闘が始まります』


 あ、戦うか戦わないのかの選択肢は出ないのか。まあ、ゴフテス未討伐のリラとパーティーを組んでいるから当然か。


「ゴォアアアァアアッ!!」


 うん。前と同じ感じの挙動だ。オルグリッチも毎回戦い初めは同じ挙動だから、ゴフテスも同じだろうとは思っていたけど。毎回違う挙動をされるよりも圧倒的に戦いやすいからありがたい。


[(モンスター・BOSS)岩腕のゴフテス LV:28 Att:土]

 HP:4800/4800

 MP:290/290

 状態:

 スキル:■


 ステータスも前に【鑑定】した時と同じだ。パーティーを組んでもHPが増えたりはしないのは有り難い。他のゲームだと上がったりするから確認は必要だよね。




「グッゴバァッ!?」


 咆哮の予備動作が終わった瞬間、前回と同じように吸込み中に毒液玉を呑み込ませていたので、咆哮攻撃が不発してゴフテスに毒の状態異常になった。今回のスタック値は41。投げ込んだ数は前回より少ないのに、スタック値が多いのはQuの影響かな。

 まあ、スタック値が多かろうと、おそらくこの状態異常が切れる前には戦闘は終わりそうだけど。


「攻撃のチャンス! 行きます!」


 特殊行動をキャンセルされたゴフテスが動けなくなっている隙に、リラは一気にゴフテスとの距離を詰める。そして、ゴフテスの腹部に向かって拳を振り上げる。


「ゴガァッ!?」


 リラ自身で付与したバフの効果もあり、その攻撃はゴフテスに悲鳴を上げさせることが出来る程のダメージを与えた。

 同時に、私も同じようにブラッドウェポンを使いゴフテスにダメージを与えていく。


 うん。やっぱり、倒すまでそれほど時間は掛からないかな。今の攻撃だけでゴフテスのHPを5%くらいは削っているから、ここから5分も掛からない気がする。ああでも、次の特殊行動はSTRとVIT上昇系だったからもうちょっとかかるかも。



 2回目の特殊行動を終えても、ゴフテスとの戦闘は順調に進んでいる。

 ゴフテスのVITが上がっているから一撃当たりのダメージ自体は減っているけど、思った以上にリラがダメージを稼いでいるのでゴフテスのHPの減りが早い。


 それに、与えた総ダメージ量はまだ私の方が多いから、ゴフテスからのヘイトがあまりリラに向いていないのもあって、順調にダメージが与えられているのだと思う。


 リラの戦い方は、簡単に言うと兄と同じ近接格闘。ただし、兄とは違って回避型ではなく、本人も言っていたように耐久型でカウンターがメインのようだ。まあ、その戦い方はゴフテスとの相性が良くないので、今回はある程度距離を取って隙が出来たら攻撃、を繰り返しながら戦っているのだけど。


「はぁっ!」


 やっぱり、人数が増えると単純に与えられるダメージ量が増えるから戦いが楽になるね。前回はちまちま攻撃をしてダメージを稼いでいたから時間が掛かったし、気に掛けないといけないことも多かった所為で、精神的にも楽ではなかった。



 そして、そう時間が掛からない内にゴフテスの残りHPが20%を下回った。

 これで最後の特殊行動が起きるのだけど、事前に決めていた通りにリラへ合図を送り、ゴフテスを挟んでリラが居る側とは反対へ移動する。


 最後の特殊行動はゴフテスが自身で纏っていた岩を投げつけて来るのだけど、こうすることでゴフテスに狙いを定めさせない、もしくは投げられても被害を最小限にしようという考えである。

 まあ、実際にゴフテスがどう動くかはわからないし、それ以上に攻撃される前に倒してしまえばいいのだけどね。


「態々鎧を脱いでいただけるなんてありがたいです!」


 リラはゴフテスが投げ付けた岩を躱しながら接近し、先ほどまで岩が覆っていた部分に攻撃を加えダメージを与えていく。

 ダメージ量を見る限り、どうやら岩で覆われていた場所は最初から覆われていなかったところに比べてダメージが通りやすいようだ。そして、リラもそれに気付いているから、そこを積極的に狙って攻撃している。


「スラッシュ」

「ゴガァッ!?」


 そして私もゴフテスの背後から、スラッシュを乗せた攻撃を放ち、それが首に当りゴフテスが大きくよろける。

 そして、その隙を逃すことなくリラが追撃を放った。


「これが最後です! やあっ!」

「ゴアァァ……」


 リラの攻撃によりゴフテスはHPが尽きて力なく地面に倒れ込む。それと同時にゴフテスの体はポリゴンになって消えていった。


『アナウンス

 第3エリアのエリアBOSS【岩腕のゴフテス】の討伐に成功しました。


 アナウンス

 エリアBOSS【岩腕のゴフテス】をプレイヤーの中で初めてパーティー討伐しました。討伐時間00:08:03。

 それにより討伐特典としてSTP10・SKP8を獲得しました 』


 ≪ワールドアナウンス

 エリアBOSS【岩腕のゴフテス】がプレイヤーによって初めてパーティー討伐されました≫


 あ、そう言えば、まだゴフテスってパーティーで討伐されていなかったのか。


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