第11話
朝、目が覚めるとAちゃんドールが僕の顔を覗き込んでいた
Aちゃん「おはよう僕ちゃん、やっと話せたね」
僕「Aちゃん、話せるようになったの?」
Aちゃん「今まで体がなじまなくてうまく動けなかったんだ、でもこれからは大丈夫、Aちゃん大復活だよ」
僕「Aちゃん、それはそうと、そこ、どいてくれるかな・・・近くて、困るんだけど」
Aちゃんは僕の顔を間近に覗き込んでいた
朝の食堂
今日の朝食はカレーだ
Aちゃん「僕ちゃん、はい、あ~ん」
僕「あーん」
Aちゃん「よくできましたー、ぱちぱちぱち」
Aちゃんは拍手して褒めた
僕「その、自分で食べれるよ」
Aちゃん「え~、いいじゃん私と僕ちゃんの仲でしょ?」
Mちゃん「あのー・・・朝からお熱いですね、僕ちゃん、早く食べないと遅れますよ?私もう行きますね、先輩」
ガタガタ!
Mちゃんは椅子を大きな音を立てて去っていった
僕「Aちゃん、ひと目があるからさ、まずいよ」
Aちゃん「あ~ん」
べちゃ!
僕のほっぺにカレーがついた
僕「ちょっと!なにするの!」
Aちゃん「うふふふふふ、とってあげる」
僕はほっぺたをティッシュでふきふきしてもらいながら思った
はじめ、Aちゃんの立場的な扱いにこまっていた、しかしこの世界では人型の人工知能ロボットは普通に存在している、高価なものなのでそうそうお目にはかかれないが、戦場の最前線にはたまにいるらしい
人工知能兵器は多種多様に渡る
そのデザインは自然界から取られることが多い
4足歩行の動物が長い年月をかけてその姿になったように、人間の姿もまた時間を掛けてシェープアップされたものなのだ
結果として、Aちゃんの立場は受け入れられた
そこには僕はひとまず安心している
Aちゃん「わたしあやまらないといけないよね、ごめんね」
僕「え?どうして?」
Aちゃん「もう関わらないでなんて言っちゃってごめん、実は僕ちゃんのドールを見たときにお父さんのことを思い出したの、私のお父さんは人形遣いの一族だった、ひどい父親、私と私のお母さんを捨てた、許せない」
僕はこんなときなんていえばいいのかわからなかった
気のきいたことを言おうか、励まそうか
僕「そっか・・・」
こんなことしか言えない、自分がうらめしい
そこにMちゃんがやってきた
Mちゃん「僕ちゃんAちゃんおはよー」
僕「おはよう」
Aちゃん「あら、おはよう」
僕らは3人で食事をとった
といっても、Aちゃんはドールなのでものを食べる必要がなかった
僕はAちゃんの中身がどうなっているのか不思議だった
一応Aちゃんはみんなの間では人工知能ロボットということになっている
しかし、僕は人工知能ロボットなど作った覚えはない
怪しい通販サイトで購入した組み立て式のドールを改造しただけだ
食堂のテレビではこの前の小規模戦闘のニュースをしていた
お屋敷で起きた爆発のことと戦闘被害者の数が報道されていた
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