第148話 見学後

 レオ=トルスの授業を見学させてもらった後、私たちは学園長室で談笑をしていた。私と学園長とレオ、そしてアレンの4人でね。


「どうでした、レオの授業は?」

 お茶を飲みながら、感想を求められた私は大きくうなずいた。


「最高でした。私が目指した教育の希望が詰まっていたと思います」


「そうでしょう、そうでしょう。レオは、仲間内でも評価が高いですからね。日常生活でももう少し柔らかいとさらにいいのですがね」


「おい!」

 レオは学園長の言葉に不満そうだ。そういうところだと思うんだけどな。仕事中の彼は、本当に丁寧に仕事をしていた。いつもの彼を知っている身としては、信じられないほどに……


「まあ、褒めてもらって悪い気はしねえな。ありがとうよ、ルーナ知事」

 不良教師は、照れながら笑っていた。


「これで、第2陣もうまくいけばいいのだけど……」


「大丈夫だろう。俺たちもしっかり指導してやるからな」


「そうしてもらえると嬉しいわ」


 彼は自信満々だけど、結果は残してくれる安心感がある。将来的には、教材研究部門に回ってもらってもおもしろいかもしれない。


「さてと、知事? ちょっと聞きたいことがあるんだ」

 レオはいつになく厳しい顔になる。

「どうぞ?」


「答えられないなら、答えなくてもいい。あんたは、ある意味では俺の恩人だからな。家督を継ぐこともできず、ただ家に飼い殺されていた俺に夢をくれたんだ。だからこそ、できる限りあんたには協力したい」


「嬉しいわ。わたしもあなたたちのことはもう仲間だと思っている」


「それは嬉しい限りだよ。じゃあ、単刀直入に聞く。あんたの最終目標を教えてくれ。俺の予測なら、あんたはいつか中央に戻るつもりだろう? じゃなければ、自由党の副総裁になんかなるわけがない。あんたは中央にでて何をするんだ? 教育改革というのはあくまではじまりにすぎないだろう? 裏に何かすごいものを隠している気がする」


 いつかは話さなくてはいけないことね。アレンは私も方向を見てゆっくりと首肯する。これはフリオ閣下とアレン、両副知事にしか話していないこと。でも、このふたりを信用して私は話す覚悟を固めた。


「わかりました。私は二人を仲間だと思っています。だから、同じビジョンを共有しておきたい。でも、勘違いしないでください。私は、この目的をふたりに強要はしません。教育改革はこれからも続きますから。ふたりはその改革にいなければならない人材です」


 そして、ふたりは笑う。

 わかったということね。


「私の最終目標は、貴族による貴族のためだけの政治を終わらせること。つまり、寡頭制かとうせいの打破です」

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