第142話 ショッピングデート
私たちは、ご飯を食べて外に出かけた。
実は、デートに来て行ける服がなくて、ひとりで焦っていたわ。
仕事着ばかりでかわいい服なんてあんまり持っていないのよね。婚約破棄の時にもともと持っていたものは全部失ってしまったし。
私が悩んでいたら……
「そんなことだと思って、いくつか服を用意しておいたよ。これはプレゼント」
アレン様がもってきてくれたかわいい洋服を着てやっとデートに来ることができた。
※
「この服、本当にかわいいですね」
「よかった。ルーナに似合うと思って用意しておいたんだよ。ルーナは、仕事だけしか考えてないと思ってね」
「うう」
人としての大事なことを捨ててしまった気がしてなんだか後ろめたい。
「そういう風にしている時は本当に女の子だ。いつもはすごいオーラをまとった政治家なのにね」
「あんまりからかわないでください」
「たまには、婚約者のかわいらしいところをみたいんだけどな」
「そういうところですよ」
私は、わざと大げさに頭を振ると、彼は苦笑いしていた。そして、優しく私の手を握った。
彼は優しいからこれで終わりね。
私は気分を変えて、不思議に思っていたことを確認する。
「そういえば、よく私の服のサイズわかりましたね」
「ああ、前にドレスを作った時の服屋さんに作ってもらったからね」
太ってなくてよかった。着れなかったら恥ずかしいもの。
※
普段着を服屋さんで買って、私たちはお昼を食べるためにレストランに入った。
私はシーフードパスタを注文した。アレンはアクアパッツァね。
幸せな香りに包まれながら、私たちは時間を共有する。
「ショッピングにつきあってくれてありがとうございます」
「荷物持ちくらいならいくらでもやるさ。そのために、体を鍛えているんだから」
宰相閣下直属の特殊部隊の指揮官に荷物を持ってもらうなんて
※
食事が一区切りついて、食後のお茶を飲んでいる時にアレンはゆっくりと口を開いた。
「ルーナ、すまない。少しだけ仕事の話をしようか」
「ええ、大丈夫ですよ」
「キミのやっている教育改革は、中央でもかなり評価されている」
「はい」
「キミを次期文部大臣に推す声もたくさんある」
「えっ!?」
野党の私を、なぜ閣内に?
「宰相閣下も、ルーナのことを高く評価している。キミなら野党所属でも大臣にしたいという風におっしゃっていたよ」
「ですが、私の考える平民学校はまだまだ数が足りません。大臣になれば知事を辞めなくてはいけないじゃないですか。それはまだ、中途半端で嫌です」
「ルーナならそう言うと思っていたよ。わかった。閣下には、自分の方からやんわりと伝えておく」
「ありがとうございます」
「でも、キミに話があるのは宰相閣下だけじゃない」
「フリオ閣下ですね」
「うん。ここまで結果を残しているルーナにも3役に匹敵する役職について欲しいらしい」
「3役に匹敵する?」
「単刀直入に言えば、自由党の"副総裁"だ」
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