第117話 教育改革
―バルセロク地方庁舎・幹部会議―
私たちは港湾改革にめどがついたことを確認する。
港湾公社代表を兼ねるロヨラ副知事が現状を会議室で解説してくれた。
「港湾改革は順調に進んでいます。抵抗勢力はほとんどが不正に関与していたため逮捕か失職。これでコルテス家一派は壊滅しました。不正の温床だったコルテス家関連企業は営業許可は取り消しました。カインズ子爵の言葉の通り、営業許可を取り消された企業は解散しています。再起を図ろうとする者たちも皆無で、本当に壊滅していますね」
「あっけないほど早かったわね。このまま港湾改革は、ロヨラ副知事主導で進めていきましょう。それが適材適所ですから」
「ありがとうございます」
子爵は解散宣言したが、それはあくまで表面上だけで別の会社を立ち上げる可能性もあったから私たちは警戒していたんだけど……その様子もなかったわ。港湾利権の解放という当初の計画はこれで達成された。
子爵は敗北宣言後、完全にバルセロク地方から撤退している様子ね。軍務省官房審議官への就任が有力視されているから、中央での政争が忙しいのかもしれない。
今が私たちにとって最高のチャンス。海賊騒動の対応を評価されて、私たちへの支持率も上がっているわ。
「今が私達にとって最大のチャンスです。この時を逃してはいけません。港湾改革ともう一つの柱である教育改革を推し進めましょう!」
有力な敵対勢力を撃破して、支持率が上がっている追い風を利用してもう一つの難問をクリアする。こういう流れを
うまくいっている時にできる限り前に進めないといけないわ。私にも任期がある。次の選挙に勝てる保証もなければ、病気などで辞任する可能性だってあるのだから……
「教育改革は、私とクリス副知事を中心に進めていきたいと思います。まずは、計画案を地方議会の許可をもらわないといけませんね。復興予算と並行して大変な仕事になってしまいますが、私たちと教育部を中心に財務部も協力してもらわなければなりません。バルセロク市の復興と並んでこれが新・地方庁が一致団結して仕事をする最初の仕事になります。みなさん、よろしくお願いします」
会議はそう言って終わりを告げた。海賊団騒動で庁舎の団結感は強まっているわ。お互いに困難なことを一緒になって成し遂げたのだから。
危機を乗り越えた私たちは関係を深めている。
次は、いよいよ地方議会との戦いね……
最高の環境で戦えることを感謝して、私は執務に戻った。
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