広島の風

作者 S.T

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★★★ Excellent!!!

昭和25年1月。4年半前、原子力爆弾が投下された悲劇の地である広島にプロ野球チームが誕生した。その名は広島カープ。しかしながら成績はなかなかに振るわず、戦後という世情の中でその存続は幾度となく脅かされるが……戦争に打ちのめされた広島の希望の光を消さぬため、奮迅する人々がいた!

ひと言で表すなら、熱いです。歴史小説に欠かせない要素はもちろん時代性で、この物語は十二分にその熱さを味わわせてくれるのですが。私が注目していただきたいのは、なによりも登場人物の熱さなのです!

焦土の底からの復興を目指し、そのシンボルである広島カープを守ろうと駆け回ってあがいてもがくキャラクターたち。時代が動くと言いますが、彼らの有り様が示すのはそんなものじゃありません。「時代を動かす」という凄絶なまでの覚悟と熱情を、これでもかというくらい魅せてくれるのです。

実話ベースだからこそのリアリティと、それを鮮やかに描き出すキャラクター。ふたつが織りなす人間ドラマ、迷わずご一読くださいまし!


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)