最終話 まだまだ終わらないっ!? 俺の物語!
「ね、ヒカリちゃん。私が言ってた『野望』って覚えてる?」
んむっ? いきなり唐突突然に、話の路線が変わりましたよ、ラーフィアちゃんっ。
ぶっ飛び思考のカノジョに振り回されっぱなしですよ、男の
「えっ? えっと、確か、全ての男のアレをチュンしちゃうんじゃなかったっけっ?」
チュン、それ即ち『縮小化』って意味ですよ。
5歳の頃のトラウマが元で、全男性の股間のアレをちっちゃくするって野望だったハズ。それが発端で魔王にまでなっちゃったんだし。
え。まさかっ?
「もしかして、その野望をまだ諦めてない、とかっ?」
「ううん。ヒカリちゃんのアレみたいにちっこいのもあるんだってわかったから、それはもういいの」
うごっっ。
ちっこいって言っちゃダメですよ、ラーフィアちゃんっ。せめてカワイイ『コヒカリ君』って言って欲しいんですけどっ。
「え、じゃあ……もうひとつの夢のコト?」
「えっ? 覚えててくれたのっ? 嬉しいなっ♡」
「同性同士でも出産出来る世界を、って言ってたよね?」
「うん。お姉ちゃんから聞いたんだけど……天界に行けば、その夢は叶うんだよねっ?」
「えっ。うん、まあ、そのハズだけど……?」
「ヒカリちゃんは『天界の住人になる権利』を得たんでしょ? だったら、私も天界の住人になれるように頑張るからっ! それでねっ、あのねっ……」
ちょっと恥ずかしそうにうつむき、少しだけ間を置いて、ラーフィアちゃんの口から出た言葉はっ!
「天界の住人になって結婚したら、ヒカリちゃんに……私の子供を産んで欲しいって思ってるのっ!」
「……えっっ!?」
結婚するのはヨシとして、いや、どうなるかわかんないけどっ。
二人の間に出来た子供を俺が産むのっ!?
出産しちゃうんですか、男の
「ボクが、ラーフィアちゃんの子供をっ!?」
「もちろん、私もヒカリちゃんの子供を産みたいって思ってるからっ。だから安心してっ!」
なぬっっ!?
私も産むから安心してって、ワケわからんですよ、ラーフィアちゃんっ!
って言うか、男の
「私とヒカリちゃんが『同じ日にお互いの子供を出産する事』! それがっ! 女神ラーフィア=リンデルの新たなる野望、そして夢なのです!」
声高らかに宣言しちゃいましたよ、ラーフィアちゃんっ!
男の
魔王から女神に転身したハズなのに、破天荒な思考は相変わらずですようおおー!
「おおー。ぶっとんだ発想でおもしれーじゃねーかっ。ラフィーは言い出したら引かないからなー。覚悟しとけよ、ヒカリぃー?」
ニターリと悪魔の微笑みですよ、ヤンキー女神っ。それを俺が甘んじて受け入れるとでもっ!?
「えっ、いや、あの、ラーフィアちゃんっ? どうしてもボクが出産しなきゃダメなのっ?」
「当然です! 私にはヒカリちゃんしかいないのです! 私がヒカリちゃんの子供を産むから、ヒカリちゃんは私の子供を産むのです!
これこそがっ!
真の男女平等なのですっっ!」
言い切っちゃったっ!?
ラーフィアちゃんのオーシャンブルーの瞳がキラッキラに輝いて、希望の光に満ち溢れちゃってますよ!
出会った頃からそうだけど、自分の夢に真っ直ぐに突き進む意志の強さがハンパないっ!
こここれはっ!
退路が無いカンジですよ、男の
「素晴らしい夢です! 全力でサポートいたします、ラーフィア様っ!」
「リアちゃんも応援しますよ、ラーフィア様ぁ♪」
「さすがはラーフィア=リンデル殿でござるっ! 拙者、感服でござりまするよっっ!」
「それでこそラフィーだぜっ! 気合いとド根性で天界の住人になってみせろよなっっ!」
「ステキですわ、ラフィーさんっ! 諦めなければ、夢は必ず叶うのですわっっ!」
レイルさん達どころか、フィルフィーとペリメール様まで感激しちゃってますよ、完全に逃げ道を塞がれちゃいましたようおおおー!
え、なに、俺、出産確定なんデスカっっ!?
そんなの前代未聞の男の
ミナサン、ちょっと落ち着いて下さいようおおー!
と、その時ですよ!
「さすがラーフィアさんですっ! ルルコも応援しますっ!」
「「「「えっ!?」」」」
いきなり、唐突突然に、くっきりハッキリ喋りましたよルルコちゃんっ!
みんな揃ってびっくり仰天ですよっっ!
「るっ、ルルコちゃんっ、喋れるのっ!? なんでっ!?」
「なんでってなによ、お兄ちゃんっ。ルルコが喋っちゃダメなのっ?」
「いや、ダメじゃないけどっ!?」
まだ喋れない乳幼児だと思ってたのが、いきなり唐突突然に、くっきりハッキリ喋り出したら誰でもビックリしますって!
「ラーフィアさんは優しいから、ポンコツお兄ちゃんでも『結婚する』って言ってくれてるけどっ!」
ビシ! っと、ちっちゃい手で俺を指差すルルコちゃんですよ!
って、ポンコツお兄ちゃんっ!?
「ちょっとカワイイからってうかうかしてると、あっという間にオジサン男の
うごっっ!
イタイとこ突いてきますよ、ルルコちゃんっ!
「自分磨きをちゃんとやっとかないと、ラーフィアさんにフラれちゃうんだからねっ!」
うごごっっ!
それはイヤだっ! イヤ過ぎるっ!
「自分磨きって、このままカワイイ男の
思わずルルコちゃんにアドバイスを求める俺ですよ。すると、なんとっ!
「そんなのルルコに訊かないで自分で考えてよねっ!」
返ってきたのは、とっても厳しい御言葉ですよ! なんてしっかりした妹ちゃんなんですかねっ!
「あーはははっ! 言われてんなあ、ヒカリぃー! あーはははははっ!」
フィルフィーったら、お腹を抱えて大爆笑しやがってますよ、抱腹絶倒女神っ!
「フィルフィーさんったら笑いすぎですわっ。ヒカリ様だって、ポンコツにはポンコツなりのお考えがあるハズなのですわっ。たぶんっ!」
あの、ペリメール様っ? ポンコツポンコツって言い過ぎだし、フォローの仕方が雑ですよー!
「ルルちくりんの方がお姉さんみたいだぞ、ヒカちくりんっ」
「ホントねえ。ちっちゃいのにお姉さんだねぇ、ルルコちゃん♡」
「なっ、なんと賢い
レイルさん達もルルコちゃんを大絶賛!
こここれはっ!
俺の味方が誰もいないっ!?
困ったどころの話じゃねーですよー!
「ルルコちゃんが私の妹になる日が楽しみだなー♡」
「それはルルコもですっ。ラーフィアさ……お姉たんっ♡」
「おっ……お姉たんっ!? 私がっ!? やだカワイイっ! カワイイが過ぎるよ、ルルコちゃあんっ!」
「あの、これからは、ラーフィアお姉たんって呼んでもいいですかっ……?」
幼児特有の甘えた声に、あざとくキュートな上目遣い!
とんでもない必殺技ぶっこんできましたよ、ルルコちゃん!
「もちろんだよ、ルルコちゃんっっ♡♡」
なななんとっ!
ルルコちゃんたら、『お姉たん』のひと言で完全にラーフィアちゃんを味方につけちゃいましたようおおー!
めっちゃ策士ですよ、ルルコちゃんっ!
どうやら、俺の物語はっ!
ゆったりまったりした日常を過ごせるのかと思いきや、このまま簡単には終わってくれそうに無いですようおおー!
どこまでも転がり続けるタマタマっていうか、回り続ける風車っていうか、落ちるコトを忘れて飛び続ける矢っていうか、まあ、そんなカンジですようおおおー!!
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