人生初の!
俺の渾身の一撃がっ!
ラミィキャンディーハンマーアタックパンチが黒竜王の『ジエンドオブソウロウ』に決まったっ!
左手のアッパースイングがモロに入った!
同じ男だからわかる、これは絶対イタイやつ!
上空に高く吹っ飛ばされた黒竜王が落ちてくるっ!
ひゅるるるるうっ!
ずどおおおおおおおんっ!
と、激しくマットに叩きつけられる黒竜王!
コカンを両手で押さえて、なんか別のイキモノみたいに白目をむいてピクピクしてますよ!
これはっ!
勝っちゃったっ!?
『ラミィちゃんの必殺技『ラミィキャンディーハンマーアタックパンチ』が黒竜王に直撃いぃっ!キモいセクハラ黒竜王にラミィちゃんが怒りの鉄拳を叩き込みましたああっっ!』
実況のワタナベさんっ!実際に戦ってるのはラミィじゃなくって、コウダヒカリなのですよー!お間違えなくー!
でも、キモいセクハラ黒竜王ってのには激しく同意ですよ!
それはまあイイとして、これはマジでっ!
勝てたっぽい!?
人生初の勝利らしい勝利!
勝利の爽快感的な何かを感じる俺っ!
勝利の爽快感的な何かってナニかわかんないけど、まあそんなカンジです!
「やっ……たあっ!」
ラミィキャンディーハンマーアタックパンチをぶっこんだ時の姿勢のまま勝利の余韻にひたる俺っ!
マンガとかアニメとかゲームとかで見かける勝利のポーズ的なアレですよ!
拳を高々と挙げるアレですよー!
ナックルガードがきらきらと七色に輝くエフェクトを放ってる!
左手を天に突き上げたカッコいいポーズで勝利の余韻にひたる俺っ!
勝利を呼んだ左手をっっ!
ヴィクトリーの左手をっっ!
左手をっっ!
天に突き上げ……っ……
あっ。
左手、って。
俺の『お着替えガチャ』スキルは、右手を振り挙げるとスキル発動。
左手を振り挙げると元の衣装に戻るハズ……だよな……
というコトはっ!ゴスロリメイド服ver.2に戻っちゃうのではっ!?
元のザコレベルのポンコツな男の
うおお、そんなっ!今、黒竜王が立ち上がってきたら絶対勝てないっ!無理無理っ!無理ゲー過ぎるっ!
お願いです黒竜王スズキさんっ!
立たないでっ!
と冷や汗モノで必死に願う俺っ。
だがしかし。
アレ?
ナゼか戻らない。ラジカルラミィの衣装のままなんですけど?
アレかな?ラミィキャンディーハンマーアタックパンチは『左手を振り挙げた』とは判定しなかった、とかかなっ?
そうなんですかねガチャの神様っ。
ちょ!ドキドキなんですけどー!
黒竜俺は再起不能なんじゃないのかなっ!?
これって、誰が判断するのかなっ!?
レフェリーがいないからわからないっ!
『ルールでは黒竜王はこのまま立てなければ敗北決定です!なんかキモーくピクピクしてますがっ!果たしてどうなってしまうのかああっ!?ここはっ!みんなでテンカウントとっちゃいましょうかっ!!』
えっ!?勝手にルール作っちゃっていいんですかワタナベさんっ!?
モチロン、俺は大助かりですがっ!
『それではみなさんで一緒に10
『『1!2!3!4!5!6!』』
おおっ!校舎のみんなも声を揃えてカウントを取ってくれてます!
感激ですよー!
黒竜王はコカンを押さえて白目をむいたまま動かないっ!
『『7!8!9!』』
そしてっ!遂にその時がっ!
『『10!』』
『黒竜王は立てないっ!立てませんっ!これはっ!ラミィちゃんの大勝利いぃーっ!!やった!やりましたよラミィちゃあーんっ!』
ワタナベさんワタナベさんっ!
勝ったのはラミィじゃなくてヒカリですよー!お忘れなくー!
「ぐぬはああああっ!」
なんとっ!実況のワタナベさんの声の後!
黒竜王が気を取り戻したっ!?
「ぐぬぬぬぬうっ!ぬはっ!ぬはっ!ぬはははははっ!そんでごつおらの嫁だべっすヒカリよほっ!今日ばっかすはカンベンさすてやっけども、こんだ会う時ばそのめんこいクチビルばちゅるちゅる吸ったるでカクゴさしとくがいいだべっす!」
え?何て?
意識を取り戻したと思ったら、方言丸出しの早口でがなりたてる黒竜王!
クチビルちゅるちゅるとか言ってたのはわかったけど、後はよく聞き取れませんでしたよっ!
「では、俺の嫁ヒカリよ!また会おう!」
あっ、聞き取れたっ。
と思った瞬間。
ばさあっ!と漆黒の翼を出現させ、ばっさばっさと羽ばたく黒竜王スズキさん!
ばさばさウルサイですよスズキさん!
「さらばっ!」
ばひゅーん。
と、翔んでっちゃった。
ん?これって、逃げた……のかなっ?
『なあんとおおっ!黒竜王が退散っ!尻尾を巻いて逃げちゃいましたああっ!我らがラミィちゃんのっ!ラミィちゃんの大勝利いぃっ!でーす!』
あのですねワタナベさんっ。
確かにラミィのコスプレですが!
勝ったのはっ!
中身はコウダヒカリなのですようごおおおっ!
俺っ、いじけちゃいますようおおっ!
「ヒカリぃっ!」
フィルフィーがリングのロープを飛び越えてとんと降り立ち、ちょっとブルーになってる俺の背中をばしーん!と叩いたっ!
めっちゃ痛いんですけどー!
加減ってもの知らないのかヤンキー女神っ!
「やったなヒカリっ!それでこそあたしの舎弟だぜっ」
むむっ?満面の笑顔でフィルフィーが俺に右手の拳を突き出してきた?
これって、これはもしかしてっ!
勝利のグータッチ!
人生初の勝利のグータッチは、ヤンキー女神フィルフィーマートと!
なんかフクザツな気持ちだけど、素直に嬉しいですよー!
生きてるって素晴らしいですよー!
「今夜はみんなで祝杯だなっ!」
ちょっと遠慮がちにグータッチすると、フィルフィーは今までに見たコト無いくらいの柔らかな顔でにかあっと笑った。
いきなりアゴクイでキスされたり、アドバイスへったくそだったり、セコンドとして失格だったりしたけど。
勝利の女神が微笑んだってカンジじゃなかったけどさ。
今日ばっかりは間違いなくフィルフィーは!
『勝利の女神様』だったよ!
たぶん!
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