甘々ドキドキ!初カノと初デート!

 翌朝、時間通りにラーフィアちゃんが迎えに来てくれて。

 フィルフィーはまだ寝てたけど、ペリメール様はラーフィアちゃんとようやくご対面。


 二人が学校で会えなかったのは、ラーフィアちゃんが遠くの街に検定試験に行ってたからだとか。

 それでフィルフィーとペリメール様の原付バトル見れなかったんだなー。フィルフィーもラーフィアちゃんが魔王育成コースにいないって言ってたのは、そういう理由からだったんですな!


 それにしても。

 やっぱ似てます。身長差はあるにせよ、まるで双子の姉妹です。

 長い銀髪、小顔で白い肌。瞳の色は違うけど、目の印象もやっぱり似てる。

 パッと見で違う所と言えば、ペリメール様はスラリと身長が高くて出るトコロは、ぼん!と出てるナイスボディー。

 ラーフィアちゃんはスラリとスレンダーでシルエットも細い。

 ただ!

 二人が並ぶとそれはもう、一目瞭然なのですよ!それって言うのは、アレですよ。

 オパイですよ。

 うむむ。見た目が似てるだけに、オパイの大きさに関しては絶対に触れてはイケナイ件!

 ラーフィアちゃんだって、そんな話題なんてイヤだろうしね!


「じゃあ行ってきます、お姉ちゃん!」

「お気を付けて、ですわっ。私も後でお買い物行きますから、何処かで会うかもしれませんね、ですわっ」


「それってフィルフィーと?」

「えっ?ええ、まあ」


「……ふーん。へーえ。ちょっとは進展したのかなー?」

「なっ、なんのコトかわかりませぬですわっ」


 ん?ラーフィアちゃん?なんか、イタズラっぽくペリメール様の顔を覗きこんでる?

 ペリメール様はちょっと顔を赤らめてるし。

 なーんか訳アリっぽいけど、よくわからないコトには首をつっこまない方がよさそうだなっ。

 

「じゃあ、行こっか、ヒカリちゃん!」

「あ、うん。行ってきますねっ。ペリメール様っ!」

       

           ◇

         

 てくてく歩く俺の隣には女の子!

 16歳の女の子と!

 並んで歩いちゃってますよ、男ののこの俺がっ!

 隣を歩くのは銀髪美少女ラーフィアちゃん!

 こんなコトがあっていいのかっ。

 ぐるぐるメガネが涙で曇りそうですよー!


 昨日の夜に見せてくれた漆黒の翼が夢か幻だったみたいに、ラーフィアちゃんはフツーに歩いてる。

 時々ニコニコしながら話しかけてきては、ウフフと照れ笑いをするんだけども、それが!


 超絶!KAWAEEEE!!


 漆黒の翼のコトを根掘り葉掘り聞くのも気が引けるし、なんつったって初デート!アタマの中はお花がいっぱい咲き乱れ、チョウチョが狂喜乱舞してますよっ!

 狂喜乱舞するチョウチョなんて見たコト無いからわかんないけど、まあそんなカンジです!


 ラーフィアちゃんはどうなのかなっ?

 ドキドキしてないのかなっ?


 俺はさっきから心臓バックバクですよー!


 ムハー!


 ◇◇ ラーフィアの脳内思考 ◇◇

 

 ヒカリちゃんとデートっ♡


 ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃん♡ヒカリちゃんっ♡♡♡♡♡

 

 ヒカリちゃんっ♡


 ヒカリちゃんとデートできるなんてっ!

 昨日のキスは甘くてふわふわで夢心地でっ!思い出すだけでシアワセっ!

 今度はキスより先のコトを……

 もっともっと!ヒカリちゃんと触れ合いたい!

 手を繋いで歩きたい!それは今日、叶えてみせる!

 腕を組んで歩きたい!それも今日、叶えてみせる!

 柔らかそうな髪に触れたい!それだって今日、叶えてみせる!

 もっと!もっともっと!!もっと先のコトを!

 今日、私はっ!


 ヒカリちゃんのおっぱいを触ってみせる!


 私は!やると決めたコトはやる女っ!

 頑張るぞっ!私っ!おー!

       

           ◇


 町への移動はバスです。

 原付バイクがある時点でもしかしてと思ってたけど。

 ありましたよ、バス。クルマもバイクも自転車も。前の世界とほとんど変わらない世界感。 

 これぞ異世界ファンタジー!ってカンジが薄い!

 ただ、その乗り物がみんな魔法で動いてるんだとか。排気ガスなんてゼロの世界。クルマもバスも完全に自動運転で、交通事故もほぼゼロ。


 バイクや自転車にも魔法がかけられてて、9割は自動運転になってるんだとか。自動運転の二輪車って乗ってみたい。いつか乗ってみよう!

 そう考えると、フィルフィーとペリメール様の原付バトルって、ほんと、ただのデモンストレーションだったのかな。

 とは言え!原付をモンスターマシンに変えちゃうくらいの女神のチカラって、スゴいよね。


 排ガスゼロ、事故ゼロの世界なんて、前の世界じゃ考えられなかった。

 なんせ俺達家族は、交通事故で死んじゃったからねー!


 自動運転バスに揺られるコト30分。

 流れる風景は田畑が多い。俺が空から落ちてきた時に見えた風景を思い出してみると、学校の周りには何にも無かった。そう思うと、ここってかなりの田舎なんだな。


「ね、ラーフィアちゃん。検定試験って、何の検定試験受けに行ったの?」


「ん?んー、内緒!受かったら真っ先にヒカリちゃんに報告するね!」


「えっ……あ、うん。ラーフィアちゃんなら受かると思うよ!たぶん!きっと!」


「なんかテキトーじゃない?でもありがと、ヒカリちゃん!」


 なーんて会話を交わしながら、ややもして駅前に到着。

 そうです。駅前です。電車、というか魔法列車が線路上を走ってます。これも完全自動運転で、大きな街や都市への移動は列車の利用が多いそうです。

 想像してた異世界と随分違うなー。


 どこにでも見受けられるようなありふれた風景の小さな町。高層ビルなんて無い片田舎の小さな町。


 ラーフィアちゃんと二人でやって来たのは、アーケードの商店街。

 キョロキョロとおのぼりさんのように周りを観察してみても『これぞ異世界!』ってな店が無い!

 ほら、フツーあるでしょ?武器屋とか魔法屋とか、妖しいアイテムショップとかっ。

 書店とか服屋とか飲食店とか、ほんと片田舎の小さな町そのまんまですよ。

 歩いてる人達も、極々フツーの人達ばかり。 

 ほら、フツーいるでしょ?エルフとかドワーフとかリザードマンとかっ。

 スーツ姿のサラリーマンとか女子高生とか男子高生とか道路工事の作業員とか、ほんと片田舎の小さな町そのまんまですよ。


 レンガ造りの赤い町並みとか、石畳の道路とか『ちょっとしたファンタジー感』すら無い、ここってほんとに異世界か!?ってな感じのフツーの町並みと人々ですよ。

 

 勇者と魔王の存在意義とは!?

 まあ、ね。こーゆーのもアリですかねー。


「ねっ、ヒカリちゃんっ。お腹空かない?」

「えっ?あ、うん。少し空いてるかなっ?」


 土日の寮の食事は朝食のみで、昼夜は自炊か外食。外食するお金なんて無いからどうしたものかと思ってたから、ここは渡りに船ですよ!

 朝食から3時間くらい経ってるから、全然イケます!


 アーケードを抜けてラーフィアちゃんに連れられて来たのは、ちょっとこじゃれたオープンカフェ。


「ここのスイーツ、美味しいんだよー。甘いのニガテな人でもペロッとイケちゃうの!お腹もいっぱいになるからオススメなのです!」


 お昼御飯を兼ねた早めのティータイム。まだお昼前だから、お客さんの数は少なめです。

 お金を持って無い俺は、当然ラーフィアちゃんから借りるコトになる。

 カッコ悪いよなあ。初デートで女の子にお金借りるなんてさっ。

 なんかド底辺街道まっしぐら!なんですけどっ!


「私はキャラメルラテとベリーミックスパンケーキにしようかなっ。ヒカリちゃんは?」


「うーん……じゃあ、同じもので」


「えー?キャラメルラテはイイけど、パンケーキは別のにしない?分け合いっこしようよっ!遠慮なんてしないでっ、ねっ?ねっ?」


 分け合いっこ?って、シェア?シェアリングですかっ!?きゃっきゃウフフなシェアリング!

 お弁当のおかずトレードとは似て非なるオトメの戯れ!スイーツ!16歳の銀髪美少女とスイーツタイム!


「えっと……じゃあ、お言葉に甘えて……ガトーショコラパンケーキにしようかな?」


「おっ。いいねー♡私もスキだよ、ガトーショコラっ♡」


 ニッコニコ笑顔ですよラーフィアちゃん。ここは、ちゃんとお礼を言っておかないとね。


「あの、今日は誘ってくれてありがとう、ラーフィアちゃん。スゴく楽しみにしてたからなかなか寝付けなくて……」


 昨日の夜、いろんなコトがありすぎてなかなか寝付けなかったのはホントですからねっ。

 ラーフィアちゃんのヤバい野望とか、初チューとか、漆黒の翼とかねっ。


「ボクの顔、むくんでないかなあ?ヘンじゃない?」


 ぐるぐるメガネを外して、ほっぺたを手のひらでふにふにとマッサージしながら微笑み返すと。


「……はうっ」


 あれっ!?ラーフィアちゃん、フリーズしちゃったっ?なんでっ?


「ヒカリちゃんっ!あのっ、そのっ、突然ぐるぐるメガネを外してはイケナイと思いマス……」


「えっ?どうしてっ?」


「チビっちゃいそうになるからデス……」


 と、消え入りそうな小さな声で言うラーフィアちゃん!

 マジですかっ!!俺の目ってそんなに破壊力あるのっ!?

 俺っ!どんだけラーフィアちゃんのどストライクなんですかっ!そんなにデレられると、どうリアクションしていいのかわかんないですよー!

 俺はそっとぐるぐるメガネをかけ直し。


「……」

「……」


 なんかね!こう、ね!二人の間には不思議な空気が流れてますよー!

 お互いに照れっ照れですよ!なんだコレ!?


 俺、青春してるっす。

 セイシュンじゃないっす。

 アオいハルっすよー!


 ムハー!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る