58. 3日目・テイマーとうさぎさん
「みゅ~~~......おにいちゃん、おはよ~~。」
「「「「っ!」」」」
目元を擦りながらミューちゃんがお店から出てきた。それと、後ろから声にならない歓喜の声が聞こえてきた気がした。
「おはよう。まだ、寝ててもいいんだよ」
まだ、少し寝ぼけてるのか足元が少しフラフラしている。
「もう、おきる~。」
「そっか、じゃあ今日もよろしくね。」
近づいてきたミューちゃんの頭をナデナデする。
「うん。えへへ~。」
「ああっ!」
「眩しい、笑顔が眩しすぎて見えない!」
「尊い、なんて美しい尊さなの。」
「............う、ぐす、うう。」
泣いてる?えっ!?なんで?狂信者4人の内1人が泣いているみたいだ。色んな意味で怖くて後ろを振り向けないんですけど。
「あっ!めーちゃん!おはよう。」
「おはよう、ミューちゃん。また遊びにきたよ。」
完全に目が覚めたみたいで隣にいたメープルさんに気がついたようだ。
「みゅ?おねいさんたちだ~れ?」
気付いた、ミューちゃんが狂信者たちを見つけてしまった。
「わ、私は、テンリといいます。」
「私は~、テンリちゃんのお姉さんのエンリっていうの。よろしくね~。」
「プリステラです。よろしくお願いします。」
「..............ぃぃ。...........う。」
チェリーさんがおかしい。なんだ?プルプルしてるぞ。
「まずいっ!セトくん!チェリーを止めて!」
「え?」
止めて?
「可愛いーーーーー!!!最高ーーーー!!」
いきなりチェリーさんが此方に突っ込んできた。
早い!でも、お猿たちには全然及ばない。いつもお猿たちと遊んでいる僕をなめないでもらいたい。このくらいなら、いくらでも対処は可能だ。
チェリーさんは勢いを落とすことなくミューちゃんに向かって飛び込んでくる。しょうがない、友達だけど迎撃しないとね。
ドンッ!!!
「ふべばっ!」
女の子が出してはいけない音が聞こえた。
僕が迎撃しようとする瞬間、白い塊がチェリーさんを吹き飛ばした。
「みゅ?うさぎさんだー。」
そう、ボールラビットがチェリーさんを蹴り飛ばしたのだ。
「痛いです!なにするんですかぁ!」
「キュッ、キュキュ」
地面を足でタシタシしながらチェリーさんになにかを言っている。
「えー!何でですかー!可愛いがあるんですよー!!」
「キュー!」
ズバンッ!!
ボールラビットのソバットがチェリーさんの顎にヒット!
「はぶっ!」
チェリーさんの事は、あの子に任せよう。
「ねぇ、メープルさん。テイムモンスターって主人に攻撃できるの?あと、チェリーさん話してるよね?」
やり取りを見て疑問に思ったことを聞いてみよう。もしかしたらお猿たちとの会話ができるようになるかもしれない。
「うーん。私もビックリしてるんだけど、普通は主人に攻撃どころかあんな感じで自分の意思で動くことも少ないわね。」
なるほど、今現在行われている自分のテイムモンスターからのお説教は普通ではないみたいだ。
「チェリー自体も高レベルのテイマーだから、会話も可能なんじゃないかしら。普段も喋りかけてる姿はよく見るし。」
職業としてのテイマーが必要なのだろうか?それとも別のスキルなのかな?どちらにしても、お猿たちとの会話はまだまだ先の話になりそうだ。
「なるほどねー。まぁ、チェリーさんの事は後にして、朝ごはんにしよう。」
ミューちゃんの朝ごはんタイムだ。僕のインベントリに入れていたらイベントの制限に引っ掛かってミューちゃんがご飯を食べられない可能性があったので、食事はミューちゃんの不思議ポーチのなかに調理済みで入っているのだ。
「ミューちゃん、兎さんは後にして朝ごはん食べようか。」
「はーい。きょうは、ぱんけーきなきぶん~。」
元気よく返事をすると、近くのテーブルに食べたいご飯を出していくミューちゃん。
「みゅ~、みんなもたべる?」
チェリーさんの一連の出来事に固まっていた狂信者へ食事のお誘いをするミューちゃん。
「よろしいのですか?!」
「わ~。ありがと~。」
「あっ!私も何か出すよ。」
一気に食卓が賑やかになった。僕もジュースを提供しよう。
「私はお菓子しかないけど、いい?」
「うん。めーちゃんもいっしょにごはんたべよー。」
うんうん。微笑ましい光景だ。
「うるさいとはなんですかー。ルーのバカー。」
「キュー!キュー!キュキュ!」
少し離れたところでは、テイムモンスターによるテイマーへのお説教が続いている。これは、ちょっと時間がかかりそうだ。
そういえば、チェリーさんのテイムモンスターはまだいたはずだけど.........あっ!いたいた。木の根元で2体とも寝そべっているみたいだ。
ん?ミューちゃんを見てるのか?興味というよりは尊敬とか憧れみたいな感じの雰囲気を感じる。チェリーさんが落ち着いたら少し話を聞いてみよう。
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