運営の話 2
「班長~、ギルドの掲示板にイベントの事前告知張るのGMコールでクレームきてるんですけど。改善しないんですか?」
若い女性は、やる気無さそうに中年の男性に話しかけた。
「ほっとけ。どうせエンジョイ勢とかリアル・シェルでしか遊んでないファッション勢だろ。ギルドに毎日顔出してたら嫌でも気付く。現状は一日前の告知だが、今後は一週間前に告知するからな。」
中年の男性は頭をかきながら疲れた感じで返答した。
「まぁ、そうなんですけどね~。クレーム上げてくるプレイヤーのログ見てもギルドにほとんどいってないですし。」
「ギルドの最初の説明で受けてるはずなんだけどな。流通を回すためにクエストがあるのに、やらないと回復薬すらNPCの店から消えるぞ。」
中年の男性はやれやれといった感じで手元の資料を眺めながら答えた。
「それはそうと、GMの薫ちゃんが感激してましたよ。清音さんの息子さんがまともな人間でよかったって。」
「薫ちゃん?.....ああ、浜野か。彼女も可哀想にな、清音さんに気に入られると大変だからな。それに息子さんがまともに俺は見えないんだけどな。」
「最近お疲れなのはやっぱり息子さんの件ですか?まさか前回のイベントの景品の【運営への要望】を本当の意味で要望してくるとは思いませんでしたもんね~。」
若い女性は先程のやる気のなさはどこへいったのかと思うほどに楽しげに話した。
「上は乗り気だし、会議も多い。清音さんは何か考えがあるのか、次のイベントの前までには形にしろってうるさいし。お前、まじで代わってくれ。」
「無理で~す。【高齢者開始支援】息子さんもよく考えましたね。若い頃の写真があればアバターを運営が作成するサービス。手に職のある人は工房、道具、初期資材、資金の融通をする替わりに弟子としてNPC、プレイヤーを育て技術力の向上を促進する。でしたっけ。」
「そうだ、言い方はあれだが。楽隠居を決め込んでいる方達も少なからずいる。現実と違い体の不調がないだろうし、一度はまると長く続けてくれるだろう。それに職人や武道家みたいな人種で言えば若い奴等より圧倒的にリアルスキルは上だからな。」
「なるほど、息子さんのせいで関係各所への根回しと許可取り、書類作成が忙しいと。」
「いや、そこら辺は全部清音さんがやったよ。一日でな。」
中年の男性は椅子に背中を預け脱力した感じで答えた。
「ほえ~。流石!清音さん。班長仕事してます?」
「うるさい。お前よりは働いてる。システム的な詰めはこっちなんだぞ。完全に若い奴等と一緒て訳にもいかないだろ。」
「まあ、そうですね。ステータスとかスキルとか、そこら辺の調整はいりますよね。」
「そうだ。だから、手を動かして働け。」
「は~い。あっ!もうすぐお昼ですね。班長~、出前!今日はピザにしましょう。」
「駄目だ!今日はカツ丼とうどんだ。」
「え~。」
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