15. 先生の授業

 システムの環境設定をいじっていると。ワイズオウルの先生がやって来た。


 先生の外見は、フクロウのミミズクにしか見えない。その口から流暢に言葉を発するので舌や声帯がどうなっているのか興味がある。性格は紳士っぽい感じだ。


「ホー、セト君、昨日ぶりですな。コングはしはらく準備のため来れないらしいので、魔法について授業を行うとしましょう。」


「よろしくお願いします。」


「ホー」


 先生がひと鳴きすると、地面からニョキニョキ木が生えてきて、止まり木と机と椅子の形になった。


「これも魔法ですか?」


ウッドゴーレムの時よりも身近に感じる魔法なので先生に質問してみた。


「そのとおり。まずは、席につきなさい。基本的な話からしていきましょう。」


 先生にそう促され席についた。青空教室の始まりだ。


 ちなみに、僕の左腕にいたお猿は椅子に座った瞬間に膝の上に移動して丸まってしまった。


「まず、魔法についてどの程度知っているかね?」


「ほとんど何も知らないですね。こう、詠唱して炎を出したり、風をおこしたりみたいな漠然としたイメージしかないです。」


「うむ。よろしい。魔法とは、知識と想像力である。」


先生が、羽を大きく広げ力強く答えを教えてくれた。.......うむ、わからん。


「ホー、その顔は、あまり理解できていないようですな。今はそれでいいですぞ、直に理解する事になるでしょう。」


 顔に出ていたようだ、気を付けよう。


「では、本格的に授業を始めるとしましょう。」


 フクロウな先生の話は続いた。最初に教わったのは、自分の魔力の感知方法だ。魔力=MPらしく、ヒューマン種は心臓付近に魔力の生成機関があるらしい。


 「ホー、では、自分の中に何か違和感がある物や、少しずつ湧き出てくるような感じのものがないですかな。」


 目を閉じ自分の内に意識を集中してみる。......うんん?違和感があるような?ないような?


心臓付近に何かあると頭の中で言い聞かせ再度集中してみる。..........体の中心から何か湧き出るようなむず痒い感覚を感じた。


【スキル 魔力感知 を習得しました。】


お!ちゃんと通知が来た。

魔力を認識した感動よりも、ちゃんと通知が来たことに感動してしまった。


「先生、魔力感知を習得しました。」


「ホーホー、筋がいいですな。魔力感知は鍛えれば相手の魔力を認識することもできるようになるので、今の感覚を忘れないよう日々訓練を続けるように。」


 フクロウな先生の話はさらに続く


「ホー、今日は魔力感知まで出来ればいいかと思っていたのですが、魔力操作までいってみますかね?うむ、やってみようではないですか。」


こちらの返答を聞くまでもなく、自己完結で続行が決まってしまった。僕も、興味があるのでウェルカムだ。


「魔力操作とは、どうすればいいのですか?」


「ホー、いいですか、自分の内にある魔力は水みたいなものだと思うことです。まずは、垂れ流している状態の魔力を体の内で塞き止めるつもりでやってみるとよいですぞ。」


 垂れ流しているって、先生もうちょっと言い方、と思ったが大人しく言われた通りにやってみることにした。


 とりあえず、自分の内に意識を集中してみる。魔力感知を覚えたので前回よりはスムーズに魔力を感じることができた。


 うーん、わからないね。これは、少し時間がかかりそうだ。魔力が有ることはわかるんだけど、それを塞き止めるイメージがわかない。


「ホーホー、セト君も時間がかかりそうですな。こればかりは個人差で掴みやすいイメージというのがありますのでゆっくりやっていきましょう。では、魔力感知と魔力操作を意識した状態で話の続きといきましょう。そうですな、次は魔法の属性について理解してもらいましょう。」


 感知を維持するのも以外としんどい、肉体的にというよりは精神的に。集中力が切れると多分自分の内に意識を集中するところからやらないと見つけられる気がしない。魔力感知のLVが低いからだと思いたい。

【魔力感知 のLVが上昇しました】 おお!上がった。おっと集中!集中!


「......属性ですか?」

 

集中力が切れないギリギリの返事しかできなかった。


「ホー、感知に集中しておりますな。よいことです。こちらが一方的に話しますのでそのままの状態で聞いてくれるとよいですぞ。」


フクロウな先生の話はまだ続く


「ホーホーホー、魔法とは基本の火、水、風、土 四属性 と、上位の光、闇 二属性 と、最上位の時間、空間 の二属性 計八属性で構成されているのですぞ。」


おー!何かレトロゲームでもあったな。いかん!集中が切れるとこだった。

【魔力感知 の LVが上昇しました】 あ!また上がった。


「さらに、属性を複数極めると複合属性の魔法の行使も可能になるのですぞ。例えば、水と土を極めると樹属性の魔法の行使が可能になるのです。複合魔法の種類は多岐に渡るので追々説目していきますぞ。」


先生の【ホー】は樹属性の魔法だったらしい。....ん?てことは昨日のウッドゴーレムもそうか。よし、聞いてみよう。


「昨日のウッドゴーレムも樹属性の魔法ですか?」


「ホー、少し感知に余裕が出てきたみたいですな。ウッドゴーレムは、錬金術と樹魔法の複合ですぞ。錬金術で核となる部分を作り樹魔法で体を作るのですぞ。核となる部分は事前に用意する必要があるのですがね。」


 スキルとの組み合わせで色々とできるのかな?他にも有るに違いないが、まずは魔法が使えないことには話にならない。よし、頑張ろう。


「ホーホー、今日はそろそろ終わりにしようかね。次は、知識を習得してもらうのでそのつもりで。感知と操作の習得は継続して行うように。」


「ありがとうございました。」


「ホー、では、次の機会に。」


先生は、そう言うと飛び去っていってしまった。


膝の上のお猿は、ずっと寝ていたみたいだ。うん、フワフワのモコモコだスクショを撮っておこう。


とりあえず、お猿を抱きかかえてログハウスに戻った。


『セト、フクロウの授業はどうでしたか?』


主様から声を掛けられた。優しい人、いや亀だ。


「初心者の僕でもついていける内容でしたよ。とりあえず頭が疲れたので今日は休もうと思いますが。」


僕は、お猿を机に置きながら主様にそう返事を返した。


『そうですか、無理のないようにするのですよ。』


「ありがとうございます。では、今日はこれで失礼します。」


主様との会話を終え、僕はログアウトした。

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