6話 笑ってはいけないボーダーライン

「おかーーーーーさん、ウェル君がなんかしたーーー」


 ダッシュして宿屋に向かうセレネ姉さん、まあそうだよね突然幼児がヴォンって出せばおかーさんに言っちゃうよね、うん間違いない、さてどうしましょうかね。


1.もう知らん顔作戦

2.母さんの前でステータスを出す作戦

3.母さんの質問待ち作戦


 知らん顔作戦だと、偶然ステータスが出た可能性にかけるって、ギャンブルかセレネ姉さんが虚言妄想癖あると思われちゃいそうだなぁ却下。


 母さんの前でステータスを出す作戦だと、意識的に出したって思われると、もう天才児とか異端児とか神子とかの線になってきちゃうね、うーん保留で。


 最後は母さんの質問待ちかぁ、これはもうなるようになーれ大作戦ってやつだよね。人生を楽しむって意味だと正解だと思うけど、小賢しく周りを振り回すのはちょっとダメだな。(もうすでにセレネ姉さんを振り回してるんだけどね…)


 よし、ステータスを出しちゃおう、下手にこねくりまわすより悪いようにならない筈。


 「ウェル君、どうしたの?大丈夫?怪我してない?セレちゃんが慌てて走って来たわよー」


 「あうーあう!」(ステータス!)


 そして、ヴォンという独特の音と供にステータスが表示されると、母さんは顔を真っ赤して俯いた後に大きな声で笑いだした。


 「あっははははウェル君ヤバい!スゴい!なにやってんのそれっ」


 「あうーあう!」(どやぁああああ)


 「ひーっっかおキリッって、何それステータスの出し方覚えたの?」


 「あい!」

 

ヴォン、ヴォン、ヴォ・・・


 「ひぃっひぃ、出したり消したりしてるぅ、もう笑いすぎてお腹いたいぃ、もっもう仕方ない子ね、変わった子だと思ってけどここまで面白いと思わなかったわ」


 よし!母さんは笑っている、これは勝ったな、心で机に肘立ててサングラスかけとこ。


 「おかーさん、ウェル君面白いの?」


 「そうよー、ウェル君が楽しい事したのよ、あれはステータスって言ってウェル君のことを詳しく書いたご本みたいなものなのよー」


 「セレもできるー?」


 「あれはねーぇ、一度教会に行って司祭様にお願いしないと出てこないのよぉー、だからセレちゃんはまだ出来ないわねー」


 「そうなんだーセレもしたかったなー」


 「もう少し大きくなってからねぇ、5才になったらいきましょうセレちゃんは今4才だからもう少し我慢してねぇ」


 「うん」


 母さんが笑いすぎて語尾がセクシー系になっとる、それはいいとして、ステータスは教会に行かないと出ない?なにそれ聞いてない、どゆこと?

 

 もしかして神の洗礼とか祝福でステータスが出る?5才で洗礼?…あー時代的に新生児の死亡率高いの?まあ医療とかも発達してないだろうし、回復魔法は特殊って話だったしね、おっと考えが逸れたえーっとだとすると、神と天使にお詫びもらってる僕は洗礼とか祝福とかは既に済んでる扱いだよね。


 「あうーあう!あう」(ステータス!加護)

------------------------------------

アンシャルの加護(全ステータスに20の+補正が発生)

------------------------------------

部分だけ出せるんだ、いいね楽ちん。そうそう、ここにアンシャル様の加護あるしねー、それはステータス出て当然か。本当にありがたいなぁ、大きくなったらお供えでもしてみよう。


 「使いこなしてるし、加護持ってるしってそうよね、もうダメッうちの子強力すぎるっっ・・・ってウェル君消して!早く!」


 「あうう!」(消えて!)


 笑い転げてた母さんが急に真面目な顔になって消してって言った直後に、複数の鉄と木の足音が宿屋から近づいてきた。


 「フォルトナさーん、なにかあったんですかーーー」

 「大丈夫ですか」

 「ウェル君を見に来た」


 宿の左側は3メーター位の幅があって、庭への通路みたいに石畳と土が半分づつで分けてある通路になってる。(石畳は庭の井戸水運搬用に引いてある)そこを歩いて宿屋のお客さんが来たみたいだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る