第159話盗賊のダーツ

盗賊のダーツを取り出した私は、ジェフくんとキャサリンちゃんに渡してみた。

 

「この投擲武器使って見て、使いやすいと思うけど、これで慣れたら自分の好みの投擲武器を作ってもらうのも良いと思うわ」


私が出したダーツを手に取り、2人は眺めながら私の話を聞いていた。

 ダーツを眺めていたジェフくんは遠くを見つめ、徐にダーツを投げる。

 その様子を見ていた私は、ジェフくんの投げたダーツの先を見る、そこにはホーンラビットがダーツを受けて倒れていた。


「スゲーなこの投擲武器、自分の思った方向に飛んできますよ」


ジェフくんは言いながら倒したホーンラビットを取りに行った。

 その様子を見ている私の後からキャサリンちゃんの声が聞こえてきた。


「本当に使いやすいですね、投げやすい」


キャサリンちゃんの声に振り向くと、少し離れた所でキャサリンちゃんが、血を流したホーンラビットを手に取っていた。

 そんな2人はホーンラビットからダーツを抜きながらこちらに帰って来る。

 

「これいいですね、貰っても良いんですか?」


ジェフくんがそう言いながらダーツをこちらに見せる。

 私はジェフくんが見せてきたダーツに目が言っていた。

 本来消費アイテムのはずのダーツが、消えてなくなっていないことに驚いていた。

 使えば無くなるから消費アイテムなのに、なんで無くなって無いの?

 私が不思議そうにしているとキャサリンちゃんが。


「すいませんこのホーンラビットお願いできますか?」


キャサリンちゃんの声に私は躊躇しながら返事をして、ジェフくんとキャサリンちゃんのホーンラビットをストレージにしまった。

 その後2人にはもう2本ずつダーツを渡し、森を進んで行く。

 進んで行く内に私の(探査)に5匹ほどの反応を感じる。

 反応を感じる方へ向かう、そこにはオークが集団で辺りを警戒しながら進んでいた。

 

「居たわ、オークはウルフほどスピードは無いけどパワーはオークの方が断然高いから気を付けてね」


私が注意しながら後ろにいた2人を見る、2人は真剣な顔で頷き武器を構える。

 私は2人に『ブレッシング』と『リジェネレート』を掛ける。

 私がバフをかけ終わると同時にジェフくんが走り出す、続いてキャサリンちゃんがジェフくんを追いかけた。


「シッハァァァ!」


気合を入れたジェフくんの横切りがオークの腹へ向かっていく、突然飛び掛かられたオークは驚き目を見開いて居た。

 オークが驚き、止まっている腹を深く裂きジェフくんは剣を振り抜く。


「グモ、オオオオオ!」


腹を大きく切り裂かれたオークは、腹から内臓を零しながら叫び声を上げ、前のめりに倒れていく。

 仲間のオークは攻撃を受けたことを知り、仲間を倒したジェフくんへ手に持った棍棒を振り下ろす。

 でもその攻撃はジェフくんには当たらず地面を叩きつける。

 オークたちがジェフくんを追いかけている間に、キャサリンちゃんは1匹のオークの側面に回り込み、隙を見てオークの腹目掛けて槍を構えて突進する。


「やあ!」


短い気合の声と共にキャサリンちゃんの槍はオークの脇腹を抉る。


「グ、ヒュウ、ゲフ!」


脇腹を抉られたオークは脇腹を押さえ、口から大量の血を吐き出しながら膝を付く。

 でもまだ止めには至っていないらしく、脇腹と口から血を流しながら苦しそうに息をして、キャサリンちゃんに向き直る。

 キャサリンちゃんは手傷を負ったオークが、最後の力を振り絞って自分に攻撃をしてくる光景を冷静に見つめる。

 

「ブ、ブオオォォ!」


手傷を負ったオークが棍棒をキャサリンちゃんの頭目掛けて振り下ろす、キャサリンちゃんはそのタイミングで前に走り込み、オークの背中へ抜けると後頭部目掛けて槍を突き出した。

 槍の矛先が後頭部に突き刺さり、オークは棍棒を振り下ろし前のめりに倒れ込み、動かなくなった。


2人が戦っている間に私は前に出て、2人が1対1になれる様に残り3匹の前で、オークの攻撃を盾で受け止めていた。

 オークの攻撃を順番に受けれるように、弾く力を調節して1匹づつ攻撃が来るように攻撃時間を調節する。

 そうして攻撃を受けながら2人の戦いを見ていた。

 もしピンチになったら、直ぐ盾で攻撃に割り込むために様子を見ていたけど、1対1なら大丈夫みたいね。

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