第154話事件は終息してた

倉庫街にたどり着いた私達は3番倉庫を探す。

 3番倉庫は意外と簡単に見つけることができた。

 

「アントニーくん!皆!どこ!」


私は見つけた3番倉庫に飛び込みながら叫ぶ、私の声は倉庫の中に響き、直ぐに奥から私を呼ぶ声が聞こえてきた。


「マリアさん!こっちです!」


私を呼ぶ声を頼りに積まれた荷物の間を進むと、一番奥の開けた場所に皆と倒れた男たちが居た。

 

「皆!無事!」


私は声を掛けながら倒れているアントニーくんを囲む皆の下に駆け寄った。

 倒れているアントニーくんに『ヒール』を使うエイミーちゃんを見て心臓が締め付けられる思い出アントニーくんのそばに座り込む。


「エイミーちゃん、アントニーくんは大丈夫?」


私がエイミーちゃんに質問するとエイミーちゃんは大きく頷き『ヒール』を掛けるのを止めた。

 エイミーちゃんは『ヒール』を使って疲れたのかその場で項垂れながら座り込んでしまい、私はアントニーくんを抱き起した。


「へへ、俺捕まるなんてヘマしちゃったけど、飴貰えるなんてラッキー」


抱き上げたアントニーくんは口の中の飴玉を転がしながら笑って言ってきた。

 

「お前な~・・・」


アントニーくんの呟きを聞いたアトムくんは、脱力して額に手を当てながら、アントニーくんを覗き込むように立ち膝だった体勢から座り込んでしまった。


「アントニー!なにふざけてるのよ!エイミーが居なかったら死んでたかもしれないのよ!」


アントニーくんの呟きを聞いたカーラちゃんは、頬を膨らませながら叱り。

 

「まったくアントニーは本当に図太いと言うか何と言うか・・・」


チェスターくんは唇を吊り上げ、苦笑いを顔に張り付けながら呆れていた。


皆が脱力している様子を見て問題ないと思い、辺りに倒れている男たちを見渡した。

 その中に知ってる顔が、のどを貫かれて目を見開き絶命しているのを見つけた。

 そう、この男なのね、犯行動機は逆恨みかしら?私があの時見逃さ中たらこんなことにならなかったかもしれないのね。

 私は自分の甘さとあの時の行動を思い出し、自己嫌悪が胸を苛んでいた。

 暗い顔をして死んだ男の顔を見つめていると後ろから肩を叩かれた。

 そちらを振り返ると、マーナが私の頭を抱きかかえ。


「もう、終わったことをくよくよしても仕方ないわよ?こうなった原因は今までコイツを野放しにしてた衛兵やギルドのせいよ。

 そう思っていなさいよ!一度はマリアが機会を与えたんだからそれで充分なのよ、それ以上何かしたって無駄だもの」


マーナは私の頭を抱きしめながら、私に言い聞かせるように耳元で囁いた。

 落ち込んでもしょうがないのかな?取り合えず皆無事だったから今後はこんなこと無いようにしないといけないわね。

 でもどうしたら言いかしら?四六時中一緒にいることは出来ないのよね。

 そうなるとやっぱり装備やアイテムで簡単に攫われない力を付けて貰えば大丈夫かしら?

 取り合えずは防具を皆分用意して、武器もスキルが付いた武器を持って貰いましょ、後ステータスアップのアクセサリーも持って貰おうかしら?

 もちろん全員分の回復アイテムも用意しないと、後それを入れるポーチも作って上げなきゃ!


私は気持ちを無理やり切り替えるために、これからのことを考え出している間に、アベルが周りに倒れた男たちを確認し始めた。

 

「生きてる奴もいるけど半数は死んでるな、ジェフ、キャサリン済まないが衛兵所に行って衛兵を連れてきてくれ」


アベルが男たちの確認をしながらジェフくん達に指示を出す。

 指示を聞いた2人は直ぐ倉庫の外に走り出していった。


「マリア、何か縛る物無いか?」


アベルに言われて私はストレージの中からロープを出し、縛っていくついでに生きている人は怪我を回復させ無いでおいた、暴れられても困るもの。

 死んでいる人はアベルがまとめてくれていた。

 私も手伝おうとしたけど、死体に触るのが怖くて躊躇している間にアベルがテキパキと片付けてしまった。

 死体にはストレージから布を掛け目に付かない様にした。

 私も神官だから『リザレクション』で生き返らせることはできると思う、でもわざわざ子供たちに危害を与えようとした人たちを生き返らせるなんてしたくない。

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