第153話誘拐?
夕方
私達はウルフを狩って戻って来た。
ジェフくんとキャサリンちゃんと一緒に狩って来たウルフは全部で12匹、すべて解体しないで私のストレージに入れて帰って来た。
「たっだいま~」
私は狩の成功に喜び大きな声で帰宅の報告をした。
扉を開けると突然ラナちゃんが私の胸に飛び込んできた。
涙を流し私の胸に飛び込んだラナちゃんは顔を上げ。
「あ、アントニーが、アントニーが!」
慌てて私に何かを伝えようとしていたけど言葉に出来ないみたい。
「ラナちゃん落ち着いて何があったの!?」
ラナちゃんを落ち着かせるため肩を掴み目を合わせて聞いた。
ラナちゃんは自分を落ち着かせるため唇を震わせながら深呼吸をする。
私は目を閉じ胸の前で手を握り、深呼吸をして落ち着くのを待つ。
「落ち着いた?何があったの?」
私がゆっくり聞くと、ラナちゃんが目を開き頷いてから話し始めた。
「アントニーが攫われて、今アトム達が助けに居ちゃって!わたし戦えないからここで待ってたんです!」
まだ少し興奮したラナちゃんが捲くし立てる様に言ってきた。
私はラナちゃんの言葉を聞いて直ぐに(探査)を使って辺りを確認した。
辺りにはラナちゃん以外の人がいなかった。
「皆はどこにいったの?」
私がラナちゃんに聞くと、ラナちゃんは手紙を取り出し私に見せてきた。
そこには3番倉庫に来るように書かれていた。
それを呼んだ私は走り出そうとして、ラナちゃんが腕を掴んでいることが分かった。
困惑しながらラナちゃんを見ると、ラナちゃんは私の目を見つめ。
「わたしを一緒に連れてってください!待ってるのはやなんです!」
ラナちゃんの叫びを聞いて私は迷ってしまったけど、ラナちゃんの顔を見て連れて行くことにした。
「分かったわ、じゃあ一緒に行きましょ、でも戦闘になったら私から離れちゃダメよ」
「はい!」
私はラナちゃんに注意をしながら倉庫街に向かう。
その途中でこちらに走って来る人がいることに気付いた。
走りながら近づくと誰だかわかった。
こちらに近づいてきていたのはアベルだった。
「おーい、探し回ったぞ!アントニーはどこにもいなかったから、衛兵所にいって探してもらえるように頼んでおいた」
アベルがそう言ってきたので、私はアベルにさっき見せてもらった手紙を見せた。
「なんだこれ!くそ俺も一緒に行くぞ!」
手紙を読んだアベルが怒りながら一緒になって走り始めた。
「それにしてもマリアが帰って来たなら、後は大丈夫だな、そう言えば他の連中は?留守番か?」
アベルは疑問に思いながら質問してくる。
私はアベルの疑問を聞きながらラナちゃんに目を向けてから答えた。
「他の子達は、アントニーくん捕まってるって手紙を見て、飛び出しちゃったみたいなの」
私が走りながら皆がいないのを説明すると、アベルは驚いた顔をして私を見つめてきた。
「マーナは!アイツまで着いてっちまったのか?せめて俺が帰ってくるまで待ってればいいじゃねーか」
私の話を聞いてアベルはグチグチと愚痴を言い始めた。
私はその愚痴を聞きながら皆のことが心配でたまらなかった。
いくら武器や防具やアイテムを渡したって心配な物は心配だわ、アトムくんだって冒険者として一緒にパーティー組んでるけど、まだ10歳なのよ!
まだ本当なら親と一緒に暮らしていてもおかしくない年頃なんだから、成人するぐらいまでは私が面倒見てあげなきゃ。
私はお節介だと解っているけど、一緒に暮らして情も映るしかわいいと思っている。
そんな子達が一生懸命生きる努力をしているんだもの、私もできる限り助けてあげたい。
そんなあの子達に危害を加えるなんて許せるはずない!
「それにしてもアイツら無理してなきゃいいんだが・・・」
アベルが心配そうに呟く、私もそれは気になってる所なのよね。
捕まっちゃたなら助ければいいだけだけど、戦闘になって怪我したり、死んじゃったりしたら私・・・。
アベルの言葉に嫌な創造が頭を過ぎる。本当に無事でいて!
私は胸を締め付けられる思いで逸る気持ちを押さえながら倉庫へ急いだ。
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