第151話アトム視点7
俺はスネアに近づき双剣で左右から同時に首へ切りつける。
それに気付いたスネアは自分の持っている剣で俺の双剣を弾く。
俺の普通の攻撃じゃまだ対応されるらしい。
「ふん!威勢のいいこと言ってたがまだ俺の方が格上みたいだな、力には正直驚いたが金等級の俺も方が経験が違うぜ!」
俺の攻撃を止めたスネアが叫びながら俺に走り寄る。
スネアの上からの切り下ろしに俺は双剣を交差させて防御する。
俺がスネアの剣を防御したとたん、俺の腹に衝撃が走った。
腹に感じる鈍痛に耐えながら、俺はスネアを見た。
スネアは丁度蹴りを繰り出した動作を戻す所だった。
「経験が足りないから、こんな簡単なフェイントに引っかかりやがる、所詮ガキだな」
俺は蹴られた勢いを使って起き上がろうとする。
そこへスネアの部下が切りつけて来た。
俺は咄嗟のことで反応できずそちらを見ていると、切りかかって来ていた部下は右横から飛んできた『アクアショット』を横っ腹に暗い体をくの字に曲げて転がっていった。
「アトムにい!大丈夫?」
カーラは杖を向けながら声を掛けてくれた。
俺はそちらを見て頷くとスネアのいた方に目を向けた。
だけどそこにはスネアはいなくて、スネアを見つけようと首を巡らそうとしたところで、左から殺気が飛んできた。
「戦闘中によそ見するなんて、随分余裕があるじゃねーか!」
左から聞こえたスネアの声と共に力のこもった横切りが飛んでくる。
俺は必死に身体を捻りながら双剣を立ててスネアの横切りを受け止める。
それでも受け止め切れずに俺の身体は右に転がり何とか起き上がる。
「くそ、感が良いな、感ずかなけりゃ楽に殺してやったのによ!」
スネアは悪態を付きながら、追い打ちを掛けるために俺を追いかけて来る。
俺は立ち上がるのもそこそこに、体制を立て直すためにバックステップで後ろに下がる。
俺が体制を立て直し双剣を構えるとスネアも一旦攻撃の手を止め俺を観察し始める。
その間にも仲間たちがスネアの部下たちはどんどん倒されていく、それを横目で見たスネアが苦虫を噛みつぶしたような顔になり。
「くそ、どいつもこいつも!俺の邪魔をしやがって!」
スネアは叫ぶと俺では無く仲間に向かって走り出した。
「な、また人質を取る気か!」
俺は叫びスネアを追いかける。
「何?なんであたしたちの方に来るのよ!」
スネアが自分の方に走ってきていることに気付いたマーナさんが、迎撃のためにスネアに弓を射る。
スネアは飛んでくる矢を切り払いながら仲間達に迫った。
スネアが標的を変えたことに気付いた部下たちは、スネアを支援するため仲間達に向かう。
また人質を捕られてたまるか!俺はスキル(俊足)を使ってスネアの斜め後ろから切りつけた。
「でえええりゃあああああ!」
俺は渾身の力を振り絞ってスネアに近づくと『連撃』を使い4回攻撃を繰り出す。
後ろからの4連続攻撃にスネアは、最初俺が攻撃してくることに気付いていたように2撃までは防いで見せた。
けどその後の2連撃に対応できずに腹を切り裂かれて転がった。
「テメーどういうことだ!?この前までたいしたスキルなんて無かったはずだ!ゴミ拾いと薬草集めるしか能のないテメーが何でこんなスキル持ってんだ!」
裂かれた腹を押さえながらスネアが叫ぶ、俺は構え直しスネアを睨みつけた。
「マリアさんがくれたんだ!守る力が無かった俺に家族を守る力を!」
俺は叫ぶと同時にスネアへ駆け寄る。
(俊足)を使い体制を低くしながらスネアの斜め横を周り、スネアを中心に回りながら隙を狙いながら切りつける。
スネアは必死で俺を見失わないように首を巡らせ目を向けていた。
そんなスネアを俺は見失った拍子に切りつけていく。
次第に傷も増え血を滴らせながら、スネアは息を切らし必死で剣を振るう。
でもスネアの剣は俺に当たることなく空振るだけだった。
そろそろ俺は止めを刺そうとしたとき、スネアが大きな声で降参した。
「す、すまねえ!もうお前らには関わらねえから許してくれ!」
スネアは両手を上げて剣を落とし膝を付いた。
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