第138話〇✕ゲーム
チェスターくんにお金を払い、エイミーちゃんからカツサンドを受け取った商人の男性は、一通り観察した後カツサンドに噛り付いた。
「美味い!これは・・・なるほど納得です」
商人の男性は一口食べ目を見開き、それから頷いていた。
何に納得したのかしら、料金?それとも商業ギルドの前に店を開いている理由かしら?
私が考えている間に、商人の男性は食べ終わり。
「ギルドが認めるわけです。美味しかったですよ、日持ちがすればもう1個いや2個は買うのですが」
男性の言葉に私は頭を下げながら。
「すいません、1日経ってしまうとパンが硬くなってしまうので、余り美味しく頂けないかと思います」
私が日持ちしない理由を伝えると、商人の男性は頷き。
「分かりました、でしたら昼用に1個買っていきます」
男性の注文を受けて、カツサンドを作り、男性に渡してあげた。
それから私達の様子を見ていたのか、商人らしいお客さんが買っていった。
立地のお陰か文句を付けて来るお客さんもいなく、荷馬車の詰め替えの間に買っていくという流れが出来てきていた。
その調子で朝の荷を積み込んだ馬車が出かけ、昼にはまだ早いけど朝ご飯は済んでいそうな時間帯になって、私達は暇になってしまった。
「ひまだね~」「そうだにゃ」
エイミーちゃんとキャトルは空き箱を椅子代わりに座り、暇を持て余して足を揺らしながら言い合っていた。
う~ん暇になったし何かゲームをって、危ない!商業ギルドの前で売れそうな物出したら騒ぎになるわ!
売り物にならなくて、すぐ覚えれて簡単なゲーム、何か無かったかしら。
私が悩んで、結局取り出したのは、裁縫に使う白と黒のボタンを5個づつ取り出し、箱の上に升目を書いてルールを説明した。
「暇ならこんな遊びはどう?二人で白と黒のこのボタンを持って、この升に縦横斜めどの方向でもいいから3個並んだ方の勝ちって遊び、簡単でしょ?」
私は説明しながら白いボタンを立てや横、斜めに置いて説明すると、子供たちは一斉に飛びついた。
私は取り合いにならないように、後4セット分ボタンを出し、皆が○×ゲームをやってるのを見ながら店番をしていた。
そして問題が、皆○×ゲームに夢中になっちゃって、店番そっちのけでやってるの。
いつの間にかアイナちゃんやリナちゃんも来て、一緒に○×ゲームで遊んでる。
「こ~ら~~、仕事しないと取り上げちゃうぞ」
微笑みながら私が言うとラナちゃんとアトムくんは直ぐに動いてくれた。
だけど他の子達は、どうしてもやめられないみたいだったので、私はため息をつき。
「ならゲームで負けた子にお遣いお願いするわ」
私が条件を付けると、皆勝負をし始めた。
そして、○×ゲームに負けたのは、アントニーくんとカーラちゃんだった。
「じゃあ、2人には冒険者ギルドに行って宣伝をしてきてもらいます。
掲示板の隅に広告を貼ってもらうだけでいいからね、お金が掛かりそうだったらこれを使ってね」
2人にお遣いを頼み、それを聞いていたアトムくんが。
「2人はまだギルドのこと知らないだろうから、俺が付いて行くよ」
アトムくんの提案に私は頷き「じゃあ、お願いしますね」と答えた。
私の答えを聞いたアトムくんはアントニーくんとカーラちゃんを連れて南の冒険者ギルドへ向かっていった。
アトムくんを見送った後、私達は時々来るお客さんを相手にしながらカツサンドを売っていく。
アトムくんを見送ってから30分たったころ、アトムくん達が冒険者ギルドから帰って来た。
「お帰りなさい、どうでしたか?」
私が質問すると、アントニーくんが。
「貼って貰ってきたぜ、それと注文貰ってきた」
胸を張り得意げに言うと、アトムくんが説明してくれた。
「レインさんが、他の受付嬢の皆さんやマスターに聞いてくれて、22人分お願いされました」
アトムくんも嬉しそうに私に言ってきた。
それを聞いたラナちゃんも嬉しそうに微笑み冒険者ギルドの分を分け始めた。
そうしている間に、日も高くなってきて、もうそろそろお昼になるという時間になり、そろそろ各ギルドに持っていくカツサンドをあげようかと思った所で珍しい顔に会った。
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