第135話キャトルー絡まれる
お店の名前も決まって、残っていた板にお店の名前を書いて、屋台の屋根に掛けた。
「アトムくん、ご苦労様でした、立派な屋台を作ってくれてありがとうございます」
私がアトムくんを褒めると、アトムくんは鼻の頭を掻きながら照れていた。
皆で一頻眺めた後、私は明日から露店の始めるために、先ずはパン屋さんに行って明日からのパンをお願いしておかなければいけないことを思い出し。
「明日にはお店出来そうだから、パン屋さんに明日からのパンをお願いしにいて来るわね」
私は言いながら孤児院の外に向かおうとすると、ラナちゃんが「私も行きます」と言いながら付いてきた。
ラナちゃんに釣られるように、エイミーちゃんも付いてきた。
エイミーちゃんは今日、キャトルーを連れて行きたいらしく、胸に抱いていた。
キャトルーは最初は抵抗もしていたけど、今ではエイミーちゃんと一緒にいるのは、当たり前のように付いて来るようになった。
そんな3人を連れて私はパン屋さんに行く。
「いらっしゃい!あらあんた達、露店出す用意はできたのかい?」
パン屋さんに入ると、奥さんが私達に気付き声を掛けてくれた。
私達はお辞儀をして、店内に入り、奥さんに話を切り出した。
「準備ができたので、明日から開店したいと思います」
私の宣言に、奥さんは嬉しそうに頷きながら。
「そうかい、おめでとう!パンの方は任せて置きなよ、美味いパン焼いてやるからね!」
奥さんはやる気に満ちた返事を聞き、私達も気合入れないといけないと思っている時、奥から声が聞こえてきた。
「おかあさん、おきゃくさん?あ、まりあおねえちゃん!エイミーちゃんもいる!」
奥から顔を出したリナちゃんが、私達の顔を見て笑顔になりながら駆け寄って来て、エイミーちゃんの抱いているものに気付いた。
「なあに、そのこ、エイミーちゃんのペット?」
リナちゃんの言葉に、エイミーちゃんが答える前にキャトルーが、エイミーちゃんの腕から飛び出し。
「ボクのご主人様はマリアにゃ、エイミーは友達にゃ!」
胸を張ったキャトルーは自慢げに宣言した。
それを聞いたリナちゃんは、キャトルーが言い終わるや否や、キャトルーに抱き着いた。
リナちゃんはキャトルーを抱きしめながら。
「ねこちゃんなんでしゃべれるの?かわいい~~~」
リナちゃんに抱きしめられたキャトルーは「やめるにゃ、離すにゃ!乱暴にするなにゃ!」と言いながら藻掻いていた。
私達がリナちゃんとキャトルーの絡みを温かい目で見ていると、奥さんが声を上げた。
「こら!リナ、嫌がってるだろ、話してやんなさい」
奥さんの一言でリナちゃんはキャトルーを離し、キャトルーは私の所に走り寄り、私の身体を駆けのぼり肩の上に座って一息ついた。
そんなキャトルーの様子を見て笑いながら、私は話を戻した。
「話を戻しますね、明日から露店をしたいと思いますので、初回は百個ほどお願いします」
私が数を言うと奥さんが「百個で良いんかい?もっと売れそうだと思うけどね」と言ってくれた。
「始めは知名度も無いですからそのぐらいで、後はその日の終わりに増やすかどうかを知らせに来ますね」
私が予定を言うと、奥さんは納得したように頷き。
「分かったよ、なら夕方にでも来とくれ」
奥さんに言われて、私も明日の露店がどうなるか考えていた。
取り合えず、商業ギルドの係員さん達には買って貰えそう、後は商業ギルドに来るお客さんに売れるかも。
でもそれだけじゃ、千個は売れるかどうかなのよね。
冒険者ギルドも、レインさんにカツサンドを渡してあるから、もしかしたら買いに来てくれるかも。
私は明日のパンの数を伝えてパン屋さんを出て帰ることにした。
リナちゃんがキャトルーと遊びたいみたいだったけど、孤児院に来てくれれば何時でも遊べると伝えたら。
「必ず行く!エイミーちゃんとキャトルーとも遊べるから!」
リナちゃんは嬉しそうに答えてくれた。
私達はリナちゃんの宣言を聞いてから、孤児院に帰った。
孤児院に帰って来た私達は、それぞれ明日に備え準備を進めていった。
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