第112話キャトルーの涙
私達はビックスパイダーに襲われたけど、マーナとアトムくんが対処してくれて、難なく倒すことができた。
蜘蛛の糸に絡め捕られたアベルも、無事助けることができたので、私達は木々の密集度が増す森を進み続けた。
森の入り口より暗くなった森は、辺りは大分暗くなっていて、少しでも日が沈み始めれば、真っ暗になりそうだった。
先頭を歩いて居るアベルは剣を前に構え、歩いて行く。
先ほどの失敗から学んで、剣を構えながら進むことにしたらしい。
「薄暗くて、糸が見えないんだよな・・・もうちょっと明るければな」
アベルはぼやきながら剣を構えて進む。
マーナもアトムくんも周りを警戒しながら進んでいく。
私も(探査)をしながら進む。
私達は森の中を進み続け、魔物を発見することは合っても戦闘になることは無く進み、大分東の山に近づくことができた。
川からも離れてしまった私達は、森の中の開けた場所で、野営の準備をすることにした。
私達は順調に東の山の麓へ近づいて行く。
森に入ってから2日と半日が過ぎて、山もかなり近くに近づいて来ていた。
私達は相変わらず森の中を進んでいた。
「もうそろそろ昼休憩するか」
アベルが木の間から見える太陽の位置を確認しながら言うと、キャトルーが声を上げた。
「うにゃ、この辺は見覚えがあるにゃ、多分もう少し山に近づけば、ボクの家の場所も解ると思うにゃ」
キャトルーの話を聞いて、私はアベルに提案することにした。
「どうせ近いならこのまま進んで家がある場所で休みましょ」
私の提案を聞いたアベルは仲間の顔を見てから。
「分かった、そうしよう」と答えた。
アベルの返事を聞き、私達は頷くと先を急いだ。
しばらく進んだ時私の肩に乗っていたキャトルーは声を上げた。
「この辺り見覚えあるにゃ、ボクの家はもう少し北側だったと思うにゃ!」
キャトルーの声を聞いた私達は、お互い顔を見合わせて、向かう方向を少し北にずらしながら先を急いだ。
これから1時間ほど進んだと思う、キャトルーは仕切りに辺りを見回し。
「あの木、見覚え合うにゃ!ここから見た山の形憶えてるにゃ!」
キャトルーは知っている風景を見て、少し興奮しているようだった。
私達も辺りを見回し、何か手掛かりは無いか探していた。
キャトルーが示す方向に向かっていると、当たりの風景が少しずつ変わって来た。
特に目立ったものは強風に煽られたのか倒れてしまっている木や根っこが見えるほど傾いている木が目立ってきた。
さらに進むと縦幅100メートルに渡り、木すらも無くなって抉れた土地が広がっていた。
横幅はどこまで続いているのか解らないほど広く、縦の100メートルの端には、木々や私達の身長は有りそうな岩が押しやられていた。
その光景を私達は眺め、キャトルーは辺りを見回し。
「ボクの家が無くなってるにゃ、しかもすごいことになってるにゃ!」
キャトルーは叫ぶと私の肩から飛び降り辺りを見回しながら。
「おとうにゃん!おかあにゃん!どこにゃーーーーーーー!!」
キャトルーはその小さな体から、あらん限りの力を声に込めて叫んだ。
だけどその声は山に反響するばかりで、返事が返ってくることは無かった。
私達はそのあたりを探し回って、やっとある物を見つけた。
それは私達にとっては小さな扉だった、その近くには木の板の残骸や柱の残骸を見つけられた。
「に、に、なあ・・・なーおーーーーーー!!」
その残骸の前でキャトルーは泣いた。
額を地面にこすりつけ、胸を締め付けられる声で泣き叫んだ。
私達はその様子にもらい泣きをしながら見守る。
しばらくすると、キャトルーは泣き疲れて眠ってしまった。
私はその身体を優しく抱いて、少しでも安心できるように優しく撫でた。
目的地に付いた私達は、遅れていたお昼を取ることにした。
私はキャトルーを抱いているので手が離せないため、ストレージから食事を取り出すことにする。
「お昼、何が良いですか?」
私が質問すると、アベルは悩んでから返事をした。
「あ~サンドイッチでいいよ・・・」
アベルは返事をしながら、私の腕の中にいるキャトルーを見つめていた。
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