第15話冒険者登録
お昼も食べ終わったことだし、冒険者ギルドに行きますか。
嫌な予感はするけれど。
私は、大通りを歩いて行くと、商業ギルドと同じぐらいの規模の建物が見えてきた。
では行って見よう。
入り口の前で気合を入れて、入り口の扉を潜る。
私が入り口を潜ると一斉に視線が注がれる。
怒気を孕んだ視線、好奇の視線、下卑た下心のある視線。
だが、その中で一番多い視線は(なんでここに神官が?)と言う疑問の視線だった。
「ケっ守銭奴どもが!」
「なんでここに神官が?」
「ヒュ~♪いい身体したお嬢様だな」
冒険者ギルドの中は、左が食堂になっていて多くの冒険者が食事をしている様だった。
まあ今は、私を注目しているため食事の手が止まっているけど。
右端には2階に続く階段が有り、右の奥にはカウンターが有って、3人ほど受付嬢さんが座っていた。
昼だからかカウンターには人は疎らで、食堂の方には何パーティーか居た。
うわぁ、覚悟はしてきたけど圧が凄いわね。
私は内心吃驚しながらカウンターへ向かうと、受付嬢さんが笑顔で。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。
今日はどういったご依頼でしょうか?」
受付嬢さんが丁寧に対応してくれたので、私は会釈をしながら。
「今日は冒険者登録に伺ったのですが、よろしいでしょうか?」
「冒険者登録ですか!?」
私の答えに驚愕した受付嬢さんが大声を上げてしまった。
それを聞いた周りの冒険者も一斉に「は!?」と声を上げる。
私は冒険者や受付嬢さんが何に驚いているのか分からず、周りをキョロキョロ見回してしまう。
そんな私に受付嬢さんは驚愕から立ち直り。
「本当に冒険者登録に来られたのですか」
受付嬢さんが確認してきたので。
「ええ、冒険者登録をお願いいたします」
私が答えると受付嬢さんは、笑顔に戻り。
「ではこちらに記入をお願いします」
記入用紙とペンを渡してくれた。
私が記入している間に受付嬢さんはギルドの利用方法を説明してくれた。
「冒険者ギルドではランクに応じてクエストが決められています。
受けることのできるランクは冒険者さんの一つ上のランクまでです。
それ以上、上のランクのクエストは依頼失敗の確率が上がるため受けることができません」
なるほど、じゃあ私はお遣いクエストしか受けれないのかしら?
私が聞きながら考えていると受付嬢さんはさらに説明していく。
「クエスト失敗には賠償金が発生します。
ランクに応じてその額も上がっていきますので、気を付けてくださいね。
賠償金が払えず奴隷落ちしてしまう冒険者さんもいらっしゃいますので」
え?奴隷落ち?そんなこともあるのね。
でもお金稼いできたから、払え無いってことは無さそうね。
「初心者冒険者さんのランクは銅等級となっています。
そして鉄、銀、金、ナボルタ、オーテルサ、アラトラム、と上がっていきます」
ん?ナボルタ、オーテルサ、アラトラム?聞いたことの無い金属名ね見てみたい。
「すいません、ナボルタ、オーテルサ、アラトラム、を見たことが無いのですがどういった物なのかしら?」
私が質問すると受付嬢さんは済まなそうな顔をして。
「それらの金属は貴重品でして、そのランクになった冒険者さんが出た時に初めて注文いたしますので。ギルドには保管されていないんです」
受付嬢さんの答えを聞いて、私はそれもそうかと納得した。
盗まれちゃったら不味いもんね。
私が記入を済ませていることに気付いた受付嬢さんは。
「では冒険者登録を致します。
記入用紙をお預かり致しますね」
受付嬢さんは、私から記入用紙を受け取り、カウンター内で作業をすると直ぐに楕円形の紐が通った銅版を私に差し出し。
「受付は完了いたしました。
改めまして、私、レインが受付けいたしました。
これからのご活躍、お祈りしております」
「私はマリアです、これからお世話になります」
私がお礼を言ってカウンターから離れようとするとレインさんが。
「先ほど金属のことをお聞きになられましたが、本物はありませんが資料でしたら2階にありますよ」
資料室ね、私はこっちの常識を知らないから知識が有るのはありがたいわね。
早速2階に上り、資料室と書かれた扉を開けた。
中に入ると学校の図書館ぐらいの広さに本棚が沢山置いてあった。
でも本が大きい、ジャ〇プ位の大きさの本がずらりと並んでいた。
私が中に入ってきたことに気付いた、カウンターに腰かけて居たご老人が腰を上げ。
「お嬢さんどうしたかね?」
尋ねられた私はカウンターに近づき。
「調べものをしたいのですけど、拝見してもよろしいですか」
私がご老人に尋ね返すと笑顔で。
「資料室の使用料は小銅貨1枚じゃ、資料の持ち出しは禁止じゃ、あと資料を破損させんようにな。
破損させると罰金が掛かるからの。
わかったらギルド証とここに名前を書いてくれ」
私は言われるままにギルド証の提示と差し出された紙に記入した。
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