第14話お昼ご飯

結局私は自分のストレージからサンドイッチを出して食べだした。

 最初からこうしておくべきだったのよ、そうすればぼったくられて石パン買わされたりしなかったのに。

 一つ目を口に入れ食べ始める。

 食べ物って食べてて幸せになる物よね。

 飲み物も取り出す。何にしようか悩んだけど、りんごジュースにすることにした。

 外だしサンドイッチだから冷たい飲み物がいいよね。

 

私がサンドイッチを食べていると右から熱い視線が・・・これは見てはいけない。

 これに反応してしまったら絶対厄介事になる。

 私は努めて見ない様に我慢して一つ目のサンドイッチを食べ終わりりんごジュースに口を付けるとさらに右側から来る視線の圧が強くなった。

 見て話いけない、見ては、チラ。

 私が視線を右にちょっと反らした。

 そこには、私気になります!って聞こえてきそうなキラキラした瞳の笑顔の女の子がいた。

 5歳ぐらいかな?私が気付いたことに気が付くとさらに近づき。


「おねえちゃん、なにたべてるの?そののんでるのなに?」


「これはサンドイッチ、こっちはりんごジュースだよ」


私が質問に答えると女の子は「ふーん」と言いながら、指を咥え上目使いになりながら欲しそうに見つめてくる。


グハァ!その仕草はダメ、私にクリティカルよ!

 私は耐えきれず残り2個になっていたサンドイッチを、1個右手に持ちもう1個を左手で口に運びながら右手のサンドイッチを女の子の口の傍に近づける。

 パク、女の子は遠慮がちに私の手にあるサンドイッチに一口齧り付くと、モグモグと咀嚼し。


「おいしい!おいしいよこれ!!」と叫びを上げた。


私は残りを女の子に渡すと女の子はあっと言う間に平らげた。

 私がりんごジュースに口を付けながら、一生懸命モグモグしている女の子を堪能していると私の前に影が落ちた。


「ねーちゃん俺にもそのガキにやったもんくれよ」


みすぼらしい格好をしたガラの悪い男性が立っていた。

 私は笑顔を向け、空になった皿を見せながら。

 

「くれと言われましても、もうございませんので」


私がそう言うと男性はチ、と舌打ちして離れていった。

 絶対こう言う輩が来るのがわかってたから女の子に渡す時に私も食べて皿を空にしといたのよね。

 男性が離れるのを確認してから女の子に目を向けるとさっきまで喜んでいたのがウソのように落ち込んでいた。

 くっそー、あの男のせいだ!せっかくかわいい女の子の笑顔が見れてたのに。


「ごめんなさい、あたしがさわいだから」


女の子の謝罪を聞き、私は男性に向けていた笑顔とは違う優しい笑顔を向け。


「大丈夫よ、あの程度のことよくあるから」


私の答えを聞き女の子は笑顔に戻ってくれた。

 もうちょっとご機嫌取っておこうかな?

 子供にあげて喜びそうな物なにかなかったかな?ストレージの中を漁って、お?良い物発見。


「怖がらせたお詫びにこれあげるね、口開けて」


女の子は不思議そうに首を傾げてから口を開いたので、私はストレージから取り出したチロノレチョコを口に放り込んだ。


チロノレチョコ 

バレンタインデー限定アイテム

女の子から日頃の感謝として贈られる義理チョコの代名詞

脈が無い女の子からの贈り物の代名詞でもある。

効果 HP500回復


これなら事故も起きないから大丈夫だわ。


「おいしー!あまくておいしーよ!」


女の子はまた叫び注目を浴びる。

 でも先ほどのやり取りの見ていたからか、今度は近づいてくる者はいなかった。

 私はお昼を食べ終わって、女の子に手を振り別れた。

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