第13話ぼたくられたよ

交渉事が終わったよ。

本来私は戦闘支援が役目、交渉事はいつも悪い笑顔で条件捥ぎ取って来る、ギルドの頭脳役マクスウェルさんの役目なのよ。

 あの人に係ればアイテムの交渉からギルド戦の戦後交渉まで、何でもこちらに有利な条件で確定して来てくれる。

 頼りになる人なんだけど、人を操るの大好きでよく誘導されて酷い目にあったことなんて数知れず。

 死霊の廃城のボス、ナイトメアリッチのレア装備が高騰してるからって私一人で取に行かせるのよ。

 まあ交換条件で私が欲しかったレア装備くれるって言うからホイホイ取に行っちゃた私も私だけど・・・

 よく考えれば私が強くなればギルドのプラスになるし、ギルド戦も有利になるのよね。

 

私が懐かしい思い出を思い出している間に支払いに使われるお金が持て来られたみたい。

 私の前にはローン貨幣がトレーに乗せられて置かれたので受け取って懐にしまう。


「では、貨幣の買取量なのですが、今の金額のまま取引と言うのは難しいと思います。

 流通すればするほど価値は下がっていきますから。

 せいぜい今回の買い取り額は5回くらいまでが限度かと思います」


コラさんが眉に皺を寄せながら今後の買取について話してくれる。

 私も問題ないと思ってる、だって今回の買取で十分ローン硬貨は手に入ったから。

 支払いに困ることはないからね、後は欲しい人に売るだけで良いと思ってるのよね。


「分かりました、それで構いませんよ」


コラさんは頷いてから。


「では今回買い取った硬貨を市場に流して反応を見てから、改めて買取させて戴きます」


コラさんの説明に納得して、頷いて了承した。

 大体交渉内容も纏まったことですし帰りますかね。


「儂らからの話は以上じゃ、長いこと引き留めて悪かったのう」


「いえ、私は問題ありませんでしたよ。ちゃんと買い取って頂けましたので」


私は軽く挨拶を交わし安息して会議室を立ち去った。

 会議室を出ると来る時案内してくれた女性従業員さんが、帰りも案内してくれた。

 私は案内してくれた女性従業員さんに見送られながら商業ギルドを出ると、日は頭の上に近い所まで来ていた。

 今何時だろ?そういえば時計つけてないや。


私はストレージからお気に入りの時計を腕に巻き、時間を確かめる。

 文字盤は10時半を指していた。

 今から冒険者ギルド行くのは・・・騒動に巻き込まれるわよね~お昼食べれないかもしれない、う~ん仕方ない先にお昼にしよ。

 私はお昼何にしようか考えながら食べ物を売ってる露店に突撃する。

 でも種類少なくない?売ってる物大体何かの肉の串焼きだし、パン売って無いかな~あ、あった。


「すいませんパン一つ頂けないでしょうか」


私がパンを売ってる露店に近づいて尋ねると販売員の男性は私の姿を上から下まで眺めてから。


「1個50ローンだよ」と答えた。


私は何も疑問に思わずに50ローン払うと男性はニヤリと口の端を吊り上げ笑いながら「まいど」と言って私にパンを渡した。


別のお客さんが来たので、私は背を向けて離れるため少し歩くと販売員の男性の声が聞こえてきた。


「1個10ローンだよ」


え?私50ローンなのに他の人は10ローン?・・・ぼ、ぼったくられた。

 私が振り返ると販売員の男性は私に気付いてまたニヤリと笑った。

 なるほどあのニヤリ顔、カモだと思われたのか~ちくせう。


でもなんでだろ?やけに厄介事に会うなあ、なんでだろ?さっきの販売員の人私の格好見てから笑ったわよね?私の格好そんなにカモに見えるのかしら?

 今の服はメビロのイベントで出てきたイベントキャラ、聖女ローレイアの法衣を気に入った私が、裁縫スキルを駆使して作り上げた私の自信作。

 紺の生地に金糸と銀糸で丁寧に刺繍した渾身の一品だ!リアルでも作ってコスプレするほど気に入ってる。

 頭には同じ生地で作ったシスターベールを被っている。

 聖職者に見られることは有ってもお金持ちに見える要素なんて無いと思うのだけど?

 私は首を捻りながら今度はさっき見つけたスープの露店に行ってみる。


「すいませんスープを戴けませんか?」


私は販売員の男性に声を掛けると販売員の男性は私を見て一瞬驚いてから。


「100ローンだ」


販売員の男性はぶっきらぼうにそう言ってきた。

 私が100ローン出して渡すと「ふん」と鼻息を鳴らしスープを渡してきた。

 なんだろこの態度は、私なんか悪いことした?

 なんともやるせない気持ちになりながら近くにあった噴水の縁に腰かけお昼を食べることにした。

 パンを千切ろうとしてかなり力を入れた。

 ナニコレ!フランスパンを何日も放置してガッチガチになった状態の様な、なんか食べるの怖いな~。


私は思い切って千切ったパンを口に入れてみた。

 カッタ!石?私、石食べたの?思わず吐き出しちゃった。

 ダメねこれ私には食べられない。

 仕方ないスープだけでも飲んどこう。

 私は石パンをあきらめスープを口にした。

 うん?私舌がおかしくなったかしら?少し塩味がするけどお湯よねこれ。

 もう一口飲んでみる。

 うん、お湯だ!私はスープを二口飲んだ所で手を止め石パンとお湯スープをそっとストレージに入れてゴミ箱に入れた。

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