第10話商業ギルド

当たり屋に絡まれて、ヨランさんに助けてもらったけど、この世界、治安あんまりよく無いのかしら?真昼間の大通りで当たり屋に会うなんて、ヨランさんが言うには引ったくりも出るみたいだし、これが普通なのかしら?て言っても、メビロでもPKに会ってアイテム取られるなんて話よく合ったけど。


町中は戦闘禁止エリアだったから、油断してたな~もういい加減ゲームの世界じゃないってしっかりしないと何時か失敗しそう。

 私が気持ちを引き締め直しながら歩いて居ると、やっと商業ギルドに付いた。

 デッカイね商業ギルド、5階建てだし横幅も普通の商店3軒分ぐらい有りそう、一階の左、商店一軒分位馬車の停留所になっていた。

 そこで人が馬車から荷下ろししてる姿が見えた。


ほ~ここで荷下ろししたり、逆に荷物積み込んで他の町へ売りに行くのか~私はストレージ有るからあまり使わないかな?あ、でも商隊の護衛のクエストとかだったら使うかもしれないわね。

 私は馬車の停留所を見た後、商業ギルドに入った。


ギルド内は赤い絨毯が引かれ、右に2階に上がる階段が有って、高そうな花瓶や彫像が置かれていた。

 なんか見ただけで“儲かってます”て感じだ。

 成金趣味で金ぴかってことも無く、落ち着いては要るんだけど裕福なのは一目でわかる調度品ね。

 私が入り口から店内を見回していると左側から声が掛けられた。


「いらっしゃいませ、今日はどういったご用件でしょうか?」


私は声がした方を向くと、ピシッとした白いシャツに黒のズボン、シャツの上には商業ギルドのエンブレムが入ったチョッキを着た

10代後半ぐらいの青年が背筋を伸ばして立っていた。

 私はそちらに向き直り。


「商業ギルドを初めて利用するのですが、どちらに伺えばよろしいですか?」


私が質問すると青年は微笑み。


「初めてのご利用でしたら、まずギルド登録が必要になります。

 ギルド登録と持ち込まれた商品の販売は1階のカウンターで行えます。

 商店の開設、露店の開設の手続きは2階、大事な商談などは3階の会議室をお貸しできます。

 各階にはカウンターがございますので、ご不明な点がございましたらカウンターに居る係員にご相談ください」


ワオ、丁寧に説明してくれた。係員の接客方法もしっかりしてるし、すごいちゃんとした教育がされてるんだろうな~。


「ご丁寧にありがとうございます」


私は青年にお礼を告げてカウンターに歩いて行く。

 私が離れていく間も青年はお辞儀をして見送ってくれた。

 現代でも稀になった丁寧な接客を受けたわ、凄いわね商業ギルド!カウンターに着くと受付にいた女性係員さんが微笑みながらお辞儀をして。


「ようこそ商業ギルドへ、今日はどういったご用件でしょうか?」と聞いてきてくれた。


私はカウンターの前にある椅子に座り。


「商業ギルドへの登録と商品を売りたいのですけどよろしいですか?」


私が、商業ギルドに来た理由を説明すると係員さんは頷き、紙とペンを出し。


「こちらにご記入お願いいたします。

 お客様がご記入している間に商品の鑑定をさせていただきますので、商品の提出をお願い致します」と言ってきた。


私は記入用紙を受け取りながら、ポーションを10本、それとメビロのケイン硬貨、大中小の金銀銅硬貨を1枚づつカウンターに出し。


「こちらを売りたいのですけど、お願いできますか?」


係員さんは笑顔で頷き、ポーションと硬貨を別々のトレーに乗せ。


「では私はこちらを担当員お渡ししてきますので、記入しながらお待ちください」


係員さんはトレーを持って席を立ったので、私は登録用紙に記入し始めた。

 記入しながら待つと、すぐに係員さんが戻ってきて。


「では10分程お待ちください、担当員の鑑定が済み次第、査定用紙が届きますので。

 その間にギルド証をお作り致します。

 登録料金は小銀貨1枚10000ローンです、年会費は同じく10000ローン、買取手数料は商品の買い取り額から10%戴くことになっております」


係員さんの説明を聞きながら私は10000ローンをストレージから出す。

 いや~カップ売っといてよかった。

 係員さんの説明はまだ終わって無かった。

 しっかり聞いておかないと。


「商業ギルドにご登録されたお客様は商業成果につき、ランクがございます。

 登録してすぐのお客様は10等級でございます。

 等級が上がることにより、ギルドから受けることができる特典が変わってきます。

 売却手数料や仕入れ優先権、年会費の割引や会議室の割引、商店の開設費用の割引や露店の開設費の割引、職人の方への工場の紹介も行っております」


う~ん、と言うことは今の私に直接係わりが有りそうなのは、売却手数料と年会費よね。


私は説明を終えた係員さんに笑顔で「ありがとうございます」と答えた。

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