ある転生者の記録

[転生一日目]


 なんか胡散臭い爺に落とされて異世界に転生させられた、幸い記憶もそのままだったし何よりも此処に前世?で使っていた自慢のパソコン一式が一緒来たのだ、残念な事にネットには繋がらなかった(当たり前か……)しかしこのパソコンにはいろんなソフトが入れてある、しばらくは不自由はしないだろう。


 ついでに気が向いたらこのフォルダに日記的な物を置いておくことにする。




[転生二日目〕


 ひとまずは使えるソフトを調べていて気が付いたのだが、そういえば電源に繋がってないのに何で動いているんだろう……、そして一つ問題があった、ネットワークに繋がっていないせいで一部のソフトがまともに動かなかったのだ、なんとかコードを書き換えて強引に起動している、幸いにも誤動作を起こしたり使えなくなったソフトはなかった。




[転生三日目]


 特に変わらない日常だ、一日パソコンを弄ってこの日は終わってしまった。




[転生四日目]


 なんかどっかの兵士達に捕まってしまった、どこか訳の分からないスパイの容疑がかけられた俺はどこの国にも所属してないって、初めてこの世界で人に会ったのに不幸だ。


 それはそうとこのパソコン、例の猫型よろしく異空間に出し入れできるらしいく今は画面とキーボードだけを出して記入している、今後はこうやって運用した方がよさそうだ。




[転生七日目]


 パソコンが見つかって隈なく調べられたものの分解などをしていたため完全に調べ上げることはないだろうと思っていたが返却された時には無残な残骸として帰ってきた、が一度異空間に収納してみると元通りに復活した、書いたプログラムはそのままになっていたので




[転生二十日目]


 あれから複数の人間がいる牢屋にいたので更新ができなかった、5回しか記録していないがコレを行うことで1日が終わったような気がする。


 何があったかと言うと自分が証拠を一切持っていなかった事と本当のスパイがいた事で何とか無罪になったようで今は解放された町の宿で記録している、この国にはいい思い出もないで、遠くに行こうと思う。




[転生二十一日目]


 何が起こってるか解らないが俺もどう説明したらいいかわからないんだ、そうだなつまりおそらく俺に嫁ができた。


 この世界ではケモ耳の種族は良い扱いを受けられないようで少し優しくすると懐いてしまった、もともと国を移動する際の護衛に押し付けられる形で雇ったが以外にも有能でいちいち褒めていたらこうなった。




[転生三十日目]


 嫁(仮)が出来て別に毎日記録しなくていいやと思ってたらこんなに日にちが経過してしまった、あれからパソコンのおかげでいろいろな事柄に貢献できている、画面上では表示できないのが難点だがな。




[転生四十五日目]


 前回からまたかなり日にちが空いたが問題ない、ついに白黒だが紙に画像を出力できるようになった、本当に魔法が使えたりチート能力とかある奴らが羨ましい、この世界ではあったことないがな、でもパソコンがあるだけマシか。




 ここから暫く転生者の事が飛び飛びだが記録されており、ココの施設の事もあったが作った事しか載っておらず仕組みなどは一切載っていなかった。


 さすがに個人の日記を読み進めるほど暇ではないので斜め読みをしながら下にスクロールしていくとついに最後の記録にたどり着いた。




[転生八四一三日目]


 ついに黒龍との最終決戦の日だ、みんなはもしもに備えて避難してもらってる、兵器の準備も万端だ後は黒龍が来るのを待つばかりだ。




記録はここで終わっている。


「………フィア」


(つまりここは以前に来た事があるようじゃな、これもしかして我のせいなのか?)

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