第4章 4 ブティックでお買い上げ 

「まあ・・お客様、とても良くお似合いですわ。」


ブティックのお姉さんが私の試着したドレスを見て、うっとりとした目つきで言う。


「そ、そう・・・ですか・・?」


照れながら尋ねるとお姉さんは満面の笑みを浮かべながら言う。


「ええ、勿論です。お客様はスタイルがよろしいので、このような洋服・・とてもお似合いですよ。」


今私が着ているのはプリンセスラインの七分袖の座下丈のワンピース。色はシックな黒で襟の部分と袖の折り返し部分は白いレースの素材になっている。

店員さんが勧めてくれただけあって、まるで仕立てたみたいに私の身体にフィットして見えた。


「では・・・これ、買います・・。すみません。あと10着ほど・・私に会う服を選んでいただけますか?」


「はいっ!お客様、喜んでっ!」


そしてその後・・・総勢5名の女性店員さんが私の服をコーディネイトしてくれて・・結局20着の服をお買いあげしてしまった。買った服はとてもではないけれども持ちきれないので自宅に届けて貰う事にしたのだった―。



****


「あーいい買い物した。」


伸びをしながらブティックを出ると、早いものですでにお昼の時間を過ぎていた。


「そうだ、ついでに食事をしていこう!」


そして私は川沿いの観光地にもなっている通りに出て、ぶらぶらとお店を探して歩き始めた。さて、何を食べようかな・・・以前の私だったら昼間から肉汁滴るステーキを食べたりしていたけれども・・。今の私は違う。里香さんの教えを守ってカロリーの事を考えて食事をすることが出来るようになっていた。そして1件のお店の前で足を止める。


「うん。このお店に決めた。」


そして私はアンティーク調の木目のドアを開けて店の中へと足を踏み入れた。



カランカラン


ドアに取り付けたベルが乾いた音が店の中に響き渡る。私は窓際の丸テーブル席に座るとすぐに女性店員さんがやってきた。


「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりですか?」


「はい、アイスコーヒーとレタスと卵のサンドイッチセットを下さい。」


私はメニューを確認することも無く注文した。実はさっき店の中に入る前に表に出されていたメニュー表を確認し、何にするか決まっていたからだ。

野菜たっぷりのサンドイッチに卵サンドも太りにくいメニューだと里香さんに教えてもらっているからね~。


そして私は窓の外を眺めながら料理が届くのを待っていた―。



****


「ふ~・・美味しかった・・・。やっぱり一口30回噛んで食べるのは疲れるけど・・少量でも満足いくから、これからも続けていかないとね・・。」


すっかり食事に満足した私は最後にナッツさんのお店でおやつを買って帰ろうと思い、屋台通りへと向かった―。




「こんにちは、ナッツさん。」


「やあ、ロザリアちゃん。また寄ってくれたんだね?」


ナッツさんは笑顔で私を迎えてくれる。


「はい、ここでおやつを買って帰ろうかと思って。」


するとナッツさんは笑った。


「アハハハハ・・・ロザリアちゃんだけだよ。俺の店のナッツをおやつ代わりに買って行くのは・・たいていの人たちはケーキやパン・・・クッキーに練りこんだりして使って調理しているからね・・。」


「ええ?そうなんですか?私って・・・おかしいのかしら・・・。」


しかしナッツさんが言った。


「いいや、そんな事は無いよ。ちっともおかしくない。さて、どれを買って帰る?他ならぬロザリアちゃんだ。サービスするよ?」


「そうですか?それじゃあ・・クルミを50g、アーモンドを50g、カシューナッツを70g下さい。」


「よし、それじゃそれぞれ20gずつサービスしておくよ。」


ナッツさんは袋に入れてくれると私に言った。


「ねえ・・・・ロザリアちゃん。今日は何の日か知ってる?」


「え・・と・・・あ!思い出しました!確か建国記念日でしたよね?すっかり忘れてました!」


まあ・・最も忘れていた原因は他でもない。里香さんなのだけど・・・。


「良かったら・・俺と一緒にパレードに参加しない?」


「え?パレードにですか?」


「うん、とっても楽しいよ?」


ナッツさんは顔を近づけて言う。勿論私の返事は・・決まっていた―。






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