第4章 2 自分に合う服
パチッ
「・・・・。」
夢の世界で里香さんと入れ替わり・・・私は久々に自分のベッドで目が覚めた。
「あ~・・嫌だわぁ・・・。」
憂鬱な気分で目覚めると、私はベッドから降りて室内履きにはきかえ・・クローゼットへ向かった。
バタン
クローゼットを開けると、そこには新しく買い替えた服が入っているのだけども・・どれも私の趣味では無かった。膝下丈の無地のジャンパースカートにブラウスと言う、いかにも庶民的な服ばかりがハンガーにつるされている。以前まで私が着ていたドレスは全て処分されてしまっている。何故なら私のサイズがダウンしたから全部着れなくなってしまったからである。
「うう~・・・私はもっと可愛らしいドレスを着たいのに・・。折角痩せて見違えたんだから・・。そうだ!今日は私に合うドレスを買いに出かけましょう!」
とりあえず一番可愛らしく見えそうな洋服を探さなければ・・・。そして私は全てのハンガーにかかっている洋服をベッドの上に乗せていった・・・。
30分後・・・
ゼーハーゼーハー
肩で荒い息を吐きながら私はベッドの上にぶちまけた今着る事が出来る洋服をすべて見直した。
「な・・・何でなの・・・?」
ガクリと膝をつく私。
「何で・・全部色が無地で紺か黒の洋服しかないのよ~っ!」
思わず頭を抱えて天井を見上げてしまった。
「い・・一体何なの?この服は・・・これはスカート幅が狭いし、これは丈が中途半端。おまけにブレザーなんてどういうことなの?そ、それに・・・。」
私は震えながらある洋服に手を伸ばした・・。何と、そこに置かれているのは・・い、いわゆる男性が履くスラックスというも・ものではないのっ?!
「じょ・・冗談じゃないわっ!どうして女性の私がスラックスを履かなくちゃならないのよっ!こんなの履いて町を歩いていたら・・・か、確実に笑いものにされるか、白い目で見られるに決まってるわ・・・!」
しかし・・・何故か今日に限って里香さんは何の反応も示してこない。いつもだったらこの辺で、いいかげんにしなさいっ!と言って頭の中に話しかけてくるはずなのに・・今日はうんともすんとも言ってこない。
「どうやら・・完全に通信?を切っているのかしら・・。そう言えば、デートを頑張ってとか何とか言ってたし・・・でもこんな服じゃどれもこれもデートに着ていける様な服は無いわ!やっぱり一番まともそうな服を見つけて・・・着て出かけるしかないわっ!」
そして私はさらに妥協?しつつ服を吟味していった・・・。
「あれ・・・これなんかいいんじゃないの・・?」
それはVネックの黒の半そでワンピースだった。袖分は少し長めで、スカート丈もくるぶしまでは届く長さ。スカート部分のシルエットはフレアースカートながらストンとした見栄えで落ち着いたデザインだった。
「へえ・・・・これならいけるかも・・。」
私は早速袖を通してみる事にした・・・・。
「嘘っ!何これ・・・すっごく私に似合ってるっ!」
全身鏡に映る自分の姿に思わず見とれてしまいそうになった。色は黒で地味なのに、よく見ると黒いバラの刺繍が施してある。糸に特徴があるのか、光に反射するとキラキラ光り輝いて見えた。
すると、何故かいきなり里香さんの声が頭の中で響き渡ってきた。
《 ほら、どう?自分ですごく似合ってると思わない? 》
「あ!里香さんっ!今までどこに行ってたんですかっ?!知ってたんじゃないですか?私が洋服で苦労してるの・・・どうして選んだ今頃になって表れるなんてっ!」
私も大分里香さんに慣れてきたのか、今までは言われっぱなしだったけど最近は色々言い返せるようになっていた。
《 何言ってるの?自分で自分に合う服を見つけさせる為に・・・今まで黙って引っ込んでいたのよ? 》
「え・・?」
《 いい?これからはね・・・ただ可愛いいだけの服を選ぶんじゃなくて・・・本当に自分に似合いそうな服を選んでコーディネイトするのよ?それがモテる女の秘訣なんだからね? 》
「里香さん・・・。」
《 さて・・・着ていく服も見つかったなら・・出かけて見なさい。それじゃ私はまた引っ込むからね。 》
そして再び里香さんからの通信?は途絶えた―。
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